ラグビー

「守りながら攻める!」スコットランド戦の圧巻4トライを生んだジェイミー流の真髄【ラグビーW杯】

川原崇(THE DIGEST編集部)

2019.10.14

監督就任からの3年間は決して順風満帆ではなかった。研ぎ澄まされた“ジェイミー流”を携え、日本代表はどこまで成り上がるのか。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

[ラグビーW杯]日本28-21スコットランド/10月13日/横浜国際総合競技場

 みずからが鍛え上げた精鋭軍団を自画自賛だ。

 日曜日のラグビー・ワールドカップ、スコットランド戦で会心のチームパフォーマンスを披露した日本代表フィフティーンを、ジェイミー・ジョセフHCが大いに称えた。

 開始6分にあっさりと先制トライを許した日本だったが、鮮やかなリカバリーを見せる。18分に福岡堅樹のパスに抜け出した松島幸太朗がトライを挙げて7-7とすると、26分には3つのオフロードパスを繋ぐ流麗なコンビネーショントライで逆転に成功。さらにその13分後にはラファエレ・ティモシーのキックに福岡が呼応してふたたびトライを決め、21対7で前半を折り返した。

 後半に入って間もない42分、相手のボールを奪った福岡が一気に加速してトライを挙げる。21点差を付けてスタンドには一時的に楽勝ムードさえ漂ったが、ここからスコットランドの猛反撃に晒される。49分、55分と立て続けにトライを奪われ、7点差に詰め寄られたのだ。しかしここから日本は24分間に渡って得点を許さない。辛抱強くモールを作って時間を稼ぎ、敵の焦燥を駆り立てながら、我慢のラグビーでリードを守り切った。

 ジョセフHCは試合後の会見で、こう話してサムライたちを褒めちぎった。

「アタックという言葉はよくボールを持っているときと思われがちだが、かならずしもそうではない。ディフェンスも攻撃のひとつだ。今日、トライがどこから生まれたか。ディフェンスラインからチャンスを掴み、そこからトライが生まれた場面があったと思う。我々が意図するのは、ボールをできるだけキープする、試合のスピードをコントロールする、テリトリーを広げ、敵の裏をかき、プレッシャーをかけ、トラブルを引き起こす。最初にトライを奪われたが、自分たちのプレーを信じ続けた。諦めなかった。信じ合えているからこそだ。とはいえ最後の2、3分は、絶対に負けたくないゲームにおいて、ずっとヘルプしてきてくれたみなさんのおかげで凌ぐことができた」
 就任当初、ジョセフHCは日本の弱点のひとつに「メンタル」を挙げていた。だがこの弱みはいまや、強みに転換したという。

「日本の選手たちのメンタリティーは明らかに変わった。私のなかでメンタリティーの定義は、日ごろなにをしているか。良い人格者であることがなによりも大事だと捉えている。そういう心を持って日々過ごしてこそ、自分たちのベストを引き出せる、体現できるわけで、良いラグビー選手になれるのだ。日本代表のみんなはそれを理解してくれていて、リーチ(・マイケル)を筆頭に、メンタリティーが正しいところにあるのかどうかをお互いに確認し、話し合い続けている。明日からはまた、南アフリカ戦に向けて、そのメンタリティーを持って取り組んでいきたい」

 高次元で結束した、一枚岩の闘う集団。はたしてジェイミー流が浸透したチームは、自国開催のワールドカップでどこまで成り上がるのか。どんな強豪を向こうに回しても、きっと"らしさ"を貫くのだろう。

取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)

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