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バレーボール

“東洋の魔女“の系譜を引き継ぐ名将、達川実が8年ぶりの現場で感じた女子高バレーの現実と未来

北野正樹

2021.03.18

達川氏が現場復帰を果たした高知中央高校女子バレー部。監督として春高バレー出場を目指す。写真:北野正樹

達川氏が現場復帰を果たした高知中央高校女子バレー部。監督として春高バレー出場を目指す。写真:北野正樹

 バレーボールのバルセロナ五輪日本代表女子コーチで、Vリーグ女子のユニチカ、東レ、デンソーを監督として何度も日本一に導いた名将・達川実が、3月1日から高知中央高校女子バレー部の監督に就任した。拾ってつなぐバレーで世界を制した“東洋の魔女“を生んだニチボー貝塚の伝統を継ぐユニチカが、指導者としての原点。8年のブランクと、初めて指導する女子高校生のレベルに戸惑いながらも、「すべてが新鮮。東洋の魔女の伝統を紡ぎたい」と、2度目の東京五輪の年にコートに立つ。

 高知市の中心部から東へ約7キロ。小高い住宅街の中にある同校。男女バスケットボール部、男子ハンドボール部などと2面のコートを時間差で使い分ける体育館で、女子バレー部の練習では笑顔が絶えない。レシーブ練習でボールを出す達川の表情は、Vリーグ時代と同様に厳しいが、大阪弁で時折、交えるジョークに1、2年生の12人の選手から笑い声が上がる。
 
 指導は丁寧だ。3人の選手が一組になり、達川監督からフェイント気味に出されるボールを拾ってつなぐ“3人レシーブ“。ボールを追う選手を他の2人がうまくフォローできないなど、3人の息が合わない。「点ではダメ。線にならないと」。すぐにプレーを止め、「3人が糸でつながっている感覚で動くことが大切」と声をかけ、ボールを使わずに3人が糸でつながれているように二等辺三角形を描きながらコート内を移動する練習に切り替え、自らも「糸」になって一緒に走り回る。

「ボールを追う選手は、後ろの選手がフォローしてくれると信じてボールを上げる。後ろの選手は『名前を呼んで(ボールを)上げて』と声をかける。そうすれば、今日、拾えなかったボールが明後日に拾えるようになるかもしれない」。わかりやすく説得力のある言葉に、選手の瞳が見る見るうちに輝きを増す。

 高知中央高校は1963年創立。「自主独立」を校訓に、男女共学で約1000人が学ぶ。普通科(特別進学コース、公務員コース、スポーツコースなど)のほか、返済不要の病院委託奨学生制度が利用出来る看護学科も併設している。勉強と部活動の両立を「二刀流」として推奨し、硬式野球部は昨年の秋季県大会に優勝し、初めて四国大会に出場。ラグビー部は2008年に創部2年で全国大会に出場し、女子バレー部も07年に春高に初出場し16強入りを果たした。しかし、ここ2年は県予選で敗退し、達川がチーム再建と若手指導者の育成を託された。
 
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