いよいよ幕を開ける、MotoGP・2021年初戦カタールGP。
例年よりテスト日数が少なかったため、前年王者のジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)など、実績のあるマシンでカタール・ラウンドに臨むと見られるライダーがいる中、中上貴晶(LCRホンダ・出光)は、ステファン・ブラドルが開発を進めている新型フレームで開幕戦へと挑むようだ。
新チームメイトのアレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)が「まだ改善の余地があると思うので、2020年型のフレームを使うことにしました。去年と同じようなプログラムで、さらに正常に進化させたい」と旧型フレームを選択したのに対し、日本の29歳は「レースウィークエンドに入る前にジャコモ(・グイドッティ:クルーチーフ)、HRCと相談して、新しいフレームを採用することにしました」と語る。
プレシーズンテスト最終日は強風が吹き荒れ、コースに砂が浮く悪コンディションだったため、予定していた新旧マシンの比較ができなかったことも要因のひとつだと考えられるが、「新しいフレームは、第一印象からハンドリングに好感が持てました。旧型フレームでは感じられなかった旋回性が向上していました。これはライダーにとって非常に重要なことで、新型フレームは2~3周しただけで、間違いなくポテンシャルがあると感じました。これで旧型との比較をする必要がなくなりましたね」と選択の理由を話す。
ただし、テストでは「去年の乗り方だとうまくリズムをつかめない」といった趣旨の発言をしており、ライディングスタイルを微調整できるかが今週末の課題となるだろう。
また、中上は現地入り後、ロサイル・インターナショナル・サーキット内に設置してある、故富沢祥也の写真が飾られたモニュメントを訪れ、「今年も会ってきたよ」と自身のTwitterに投稿した。
大理石で製作されたモニュメントは、2010年に行われたMoto2クラスの初レースで優勝を飾り、その年のサンマリノGP決勝でのアクシデントがもとで非業の死を遂げた富沢を称えるものだ。2人は年齢も近く、同じ千葉県出身であることから、幼少の頃からライバルとして、親友として、お互いを高め合ってきた。
報道陣に「今週末、トップ10に入れるか?」と問われ、「いえ、表彰台を目指して頑張ります! テストでは苦労しましたが、それはあくまでテストでの話であって、レースウィークエンドはきっと違う話になるでしょう。FP1とFP2で良いスタートを切り、すべてのセッションで良いポジションを確保して、力強いレースにしたい」と語った中上。11年前の富沢にように、トロフィーを頭上に掲げる姿を世界にぜひ届けたい。
文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
例年よりテスト日数が少なかったため、前年王者のジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)など、実績のあるマシンでカタール・ラウンドに臨むと見られるライダーがいる中、中上貴晶(LCRホンダ・出光)は、ステファン・ブラドルが開発を進めている新型フレームで開幕戦へと挑むようだ。
新チームメイトのアレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)が「まだ改善の余地があると思うので、2020年型のフレームを使うことにしました。去年と同じようなプログラムで、さらに正常に進化させたい」と旧型フレームを選択したのに対し、日本の29歳は「レースウィークエンドに入る前にジャコモ(・グイドッティ:クルーチーフ)、HRCと相談して、新しいフレームを採用することにしました」と語る。
プレシーズンテスト最終日は強風が吹き荒れ、コースに砂が浮く悪コンディションだったため、予定していた新旧マシンの比較ができなかったことも要因のひとつだと考えられるが、「新しいフレームは、第一印象からハンドリングに好感が持てました。旧型フレームでは感じられなかった旋回性が向上していました。これはライダーにとって非常に重要なことで、新型フレームは2~3周しただけで、間違いなくポテンシャルがあると感じました。これで旧型との比較をする必要がなくなりましたね」と選択の理由を話す。
ただし、テストでは「去年の乗り方だとうまくリズムをつかめない」といった趣旨の発言をしており、ライディングスタイルを微調整できるかが今週末の課題となるだろう。
また、中上は現地入り後、ロサイル・インターナショナル・サーキット内に設置してある、故富沢祥也の写真が飾られたモニュメントを訪れ、「今年も会ってきたよ」と自身のTwitterに投稿した。
大理石で製作されたモニュメントは、2010年に行われたMoto2クラスの初レースで優勝を飾り、その年のサンマリノGP決勝でのアクシデントがもとで非業の死を遂げた富沢を称えるものだ。2人は年齢も近く、同じ千葉県出身であることから、幼少の頃からライバルとして、親友として、お互いを高め合ってきた。
報道陣に「今週末、トップ10に入れるか?」と問われ、「いえ、表彰台を目指して頑張ります! テストでは苦労しましたが、それはあくまでテストでの話であって、レースウィークエンドはきっと違う話になるでしょう。FP1とFP2で良いスタートを切り、すべてのセッションで良いポジションを確保して、力強いレースにしたい」と語った中上。11年前の富沢にように、トロフィーを頭上に掲げる姿を世界にぜひ届けたい。
文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super