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F1ルーキー角田裕毅、次戦のイモラでは改良パーツ導入へ。チームTDは「正しい位置に場所にいる」と満足

THE DIGEST編集部

2021.04.08

初戦で日本人ルーキーとして初のポイント獲得を達成した角田。まだ1レースを終えたのみだが、首脳陣も彼の実力を高く評価しているようだ。(C)Getty Images

 F1開幕戦のバーレーン・グランプリで9位入賞を果たし、デビュー戦で早くも2ポイントを獲得したアルファタウリの角田裕毅。13番手からスタートし、いきなり順位を落としたものの、その後の冷静かつ積極的なレースで、歴代王者たちを次々にパスするパフォーマンスは、各方面から高く評価されている。

 チームは4月6日、鮮烈なデビューとなったこのグランプリで角田に密着した動画を公開。そこでは、チームミーティングの模様や、スタッフや同僚ピエール・ガスリーとの楽しげなやり取りの他、パドックでのサッカーやレース後のゴルフなど、非常に珍しい場面を多く見ることができる。

 また、レース後に「1周目で慎重に行き過ぎた」ために順位を落としたことを反省する角田に対し、チームプリンシパルのフランツ・トストが「ファーストラップで生き残るよう言ったのは我々だ。君のやったことは全て正しかった」と擁護する場面、ブリーフィングで「もっと上に行けた」と語る場面、「レース中に印象的だったことは?」と訊かれて「特にない」と冷静に答えた場面などからは、角田の向上心の高さが改めて感じられる。

 実年齢(20歳)よりずっと若く見える日本の青年に対する評価の高さも、この動画からは窺えるが、テクニカルディレクターのジョディ・エギントンも「多くの情報を素早く吸収し、エンジニアとのコミュニケーションや連係もうまくこなしている」と絶賛する(オランダの専門メディア『RN365』より)。

「バーレーンGPで彼は、浮き沈みを経験した。幾つかの問題が起こり、苛立ちもしたが、それが彼を含め、我々チームを強くしている。今後も、多くの浮き沈みを経験するだろうが、その中でパフォーマンスを発揮し続けることが重要だ。角田は今、学ぶためにここにいる。ここまでは全体的にうまくいっており、彼は正しい場所にいると思う」
 
 アルファタウリは角田によって2ポイントを獲得した他、決勝ではリタイヤに終わったものの、ガスリーも予選ではミディアムタイヤを履いてQ3に進み、5位という好結果を残すなど、ホンダのパワーユニットも含めてポテンシャルの高さを見せつけた。

 トスト代表は、スピード、信頼性ともに満足感を示したが、今季のレギュレーションによって失われた空力ポイントを回復するための開発は今も進んでおり、エギントンTDによれば、第2戦のエミリア・ロマーニャGPから改良パーツが使用され、第4戦のスペインGPでは大幅にアップグレードされたマシンの導入を予定しているという。

 さらなる進化が見込まれる「AT02」と、レースごとに成長を遂げている角田の融合が、何を生み出すのか。まずは、ホームサーキットと言えるイモラの第2戦でそれを確かめたい。

構成●THE DIGEST編集部

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