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「F1のポイント獲得は楽になったのか?」を英メディアが考察!角田裕毅のデビュー戦9位は偉業か、それとも…

THE DIGEST編集部

2021.04.12

オーバーテイクなど印象的なパフォーマンスを披露した角田を英メディアも評価した。(C)Getty Images

オーバーテイクなど印象的なパフォーマンスを披露した角田を英メディアも評価した。(C)Getty Images

 F1開幕戦のバーレーン・グランプリで9位入賞を果たしたアルファタウリの角田裕毅。デビュー戦でのポイント獲得は2016年のストフェル・バンドーン以来、そして日本人ドライバーとしては初ということで、20歳のルーキーには多くの賛辞が寄せられた。

 しかし一方で、20人のうちの10人、つまり全体の半分のドライバーがポイントを獲得できるという現在のレギュレーションは、ポイント(の獲得)の価値を下げているのではないか? という声もあるという。角田の場合、さらにアルファタウリというコンストラクターズランキングで3、4位を狙えるというマシンを持っているということで、ポイント圏内入りも当然のことと捉えられるのだとか……。

 そういった見方に対し、英国の専門メディア『THE RACE』が「F1でポイントを獲得することは簡単になったのか?」と題した記事において考察を行ない、結論を提示している。

 F1は勝利数ではなく、ポイント数の合計で年間王者を決する競技であり、獲得ポイント数とはドライバーの能力を示す重要な指標となるが、その配分は時代で大きく変わっている。1950年にグランプリが始まってから59年までは、ポイントの対象は1~5位で、獲得ポイント数は1位から順に、8、6、4、3、2点だった。そこからの変遷は以下の通りだ。

60年:1~6位(8、6、4、3、2、1点)
61~90年:1~6位(9、6、4、3、2、1点)
91~02年:1~6位(10、6、4、3、2、1点)
03~09年:1~8位(10、8、6、5、4、3、2、1点)
10年~:1~10位(25、18、15、12、10、8、6、4、2、1点)
※2014年のみ最終戦はポイント2倍

 ちなみに過去の日本人ドライバーでは、87年の中嶋悟と97年の中野信治が7位、そして09年の小林可夢偉が9位でデビュー戦を終えたが、いずれも当時のレギュレーションによってポイントを得ることができなかった。
 
 さて、こうしてポイント対象人数や配点数は時代によって変化しているが、同メディアによると、どの時代にも大きく変わらないのは、完走台数に対するポイント対象人数の割合で、56.6~60%の間を推移しているという。そしてポイントを手にするのにドライバーが1レースで勝たなければいけない相手は平均で7.3人という数字も弾き出されている。

 ドライバーの総人数におけるポイント対象人数の割合は、50年代は29.1%、09年までは46.8%、そして今は50%ということで、単純に考えれば今の方がポイントを獲得するのは簡単と思えるが、年月とともに完走率は高くなっているため、60年代は完走者のうちの70.4%がポイントを得られたのが(69年はなんと86.3%!)、2010年代は59%と下がっている。ちなみに現在進行中の2020年代は現時点で61.6%である。

 こうしたことから、10位までがポイント圏内となった現在のF1がイージーなものだと判断するのは間違いだと同メディアは結論を出し、むしろこれまで以上に良い車を持ち、うまくレースを展開することが必要だと綴った。

 そして角田については、前述の通り良いマシンを与えられているメリットはあるものの、予選Q2敗退、決勝のスタート失敗を、複数のオーバーテイクなど印象的なパフォーマンスを発揮して挽回したことを「決して簡単な作業ではなかった」として、デビュー戦でのポイント獲得はやはり偉業であると評価したのである。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】デビュー戦で9位入賞!角田のオーバーテイクシーンをチェック

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