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バレーボール

「ポテンシャルはある」初代表・高橋藍の活躍に中垣内監督が自信!格下の中国に苦戦も、五輪に向けて光ったものは?

北野正樹

2021.05.02

初の国際舞台にも関わらず高橋は、チーム2番目の16得点に貢献した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

初の国際舞台にも関わらず高橋は、チーム2番目の16得点に貢献した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 バレーボールの男子日本代表の国際親善試合~東京チャレンジ2021~が5月1日、東京五輪の会場となる有明アリーナで開幕。2019年10月以来の国際大会となった世界ランキング9位の「龍神NIPPON」は、同27位の中国にフルセットの末、3-2で競り勝った。

 コロナ禍で、東京五輪が1年延期となり、代表の国際大会も一昨年のワールドカップ(W杯)以来、約1年半ぶり。格下だが、高さのある中国代表は、五輪メンバーを絞り込んでいく途中の男子代表にとって、力試しにうってつけの相手だった。そんな重要になる初戦に、中垣内祐一監督は、先発メンバーに国際大会デビューの大学生2人を入れるフレッシュな布陣で臨んだ。

 アウトサイドアタッカーに起用されたのが、大塚達宣(早大3年)と、高橋藍(たかはし・らん、日体大2年)。大塚は2セット目の途中から外れたが、高橋はほぼフルに戦い、エース西田有志(ジェイテクト)の27得点に次ぐ、16得点を挙げ新戦力としてアピールした。

 序盤は硬さの見られた高橋だった。攻撃力に加え、レシーブの安定も武器にしていたが、サーブレシーブが乱れ、レフトからのフェイント気味のアタックも高いブロックにシャットされてしまった。

「見たことがないくらい緊張していて、サーブレシーブでも足が動かず差し込まれていた」と見た中垣内監督が、第1セット途中に福沢達哉(パナソニック)とワンプレーだけ交代させる場面もあった。このセットは21-25で落としたが、2セット目以降は、落ち着きを取り戻してサーブレシーブも安定し、攻撃では鮮やかなバックアタックも随所に決めた。

「出だしは、(中国の)高さに慣れず、様子見で打っていてシャットアウトされた。どの高さで打てばブロックに引っかからないのか、途中で修正することが出来た」と高橋。初めての国際大会で、気持ちの部分で引いてしまっていたとも言い、中垣内監督からの「強気に」というアドバイスで開き直れたという。

 新しい主将の石川祐希(イタリア・セリエA)が現地での試合を終えたばかりで、今回大会の12人のメンバーには入らず、前主将の柳田将洋(サントリー)も外れた。柳田が外れた理由を、中垣内監督は「今回はコンディションがそれほどいいとは思わなかった」と説明したが、五輪経験者の清水邦広(パナソニック)や福沢も含め、力量は分かっており、この1年間試すことのできなかった若手を国際大会の舞台で見極めたかったようだ。
 
「試合結果に直結するアウトサイドの2つのポジションを大学生に託すのは冒険だと思われるかもしれないが、それに耐えうるだけのポテンシャルはある」と、中垣内監督は語る。途中出場で流れを変えた高梨健太(名古屋)も含め、勝ち試合で自信をつけさせられたのは、小さくない収穫だろう。西田もこう語っている。

「サイドは大きく変わったが、全員がしっかりと自分の仕事をしている。中国のブロックは欧州チームにひけを取らない高さがある。チャレンジマッチかもしれないが、五輪に向けてチームのレベルを知る上で重要な試合。勝ちにこだわり、1点に執着した。五輪代表選考に向け、自分ももっともっとアピールしていきたい」

 完勝ではなかったが、五輪に向けたチーム作りが見えた試合だった。五輪メンバーの12人に向けたサバイバルゲームが始まった。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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