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「私の現役時代には…」物議を醸した角田裕毅の“無線罵声”をF1レジェンドが擁護「レース中の異常な精神状態を理解すべき」

THE DIGEST編集部

2021.07.01

以前は角田の無線での罵声に批判が集まっていたが、イモラでのレッスンによって改善傾向にある。(C)Getty Images

 F1第8戦のシュタイアーマルクGPでは10位入賞を果たして1ポイントを獲得したスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅。予選Q3では8番手タイムを記録しながらも、ヴァルテリ・ボッタスへの進路妨害によって3グリッド降格の憂き目に遭った。

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「7~9位の順位もあり得た」とレース後に悔しさを感じさせた彼は、ペナルティーについては「本当に痛すぎた。二度とこんなことをないようにしたい」と語り、具体的な防止策としては、「無線でのチームとのコミュニケーションの問題を分析する」ことを挙げている。

 さて無線といえば、角田がこのツールを通して"罵声"を口にしたことが再三話題となり、また物議を醸してきた。開幕バーレーンGPや続くエミリア・ロマーニャGPでは好意的に捉えられたものの、回数を重ねるごとに苦言を呈する者も多くなり、角田自身も「僕の弱点です」と認め、レース中の精神面の安定を課題にも挙げていた。

 シュタイアーマルクGP終了後には、F1公式サイトが各選手の無線での会話を公開しており、このページの中で「角田は電波を通して、自身の本当の気持ちが知られてしまうことを気にかけていない」と綴られているが、彼のコクピットでの"衝動的"な行動は今やお馴染みのものとなっている。
 
 最近ではネガティブな見方が多くなっているが、これに対して「問題ない」と語ったのが、元F1の名ドライバーで、引退後も様々な役職を歴任し、この世界で活動しているゲルハルト・ベルガーだ。母国オーストリアのメディア『ServusTV』の取材に応え、「私の現役時代には、こんなことが問題になることはなかった。ドライバーの声が伝わることはほとんどなかったから」と振り返ったレジェンドは、以下のようにルーキーを擁護した。

「ヘルムート・マルコ博士(レッドブル・グループ顧問)は、若いドライバーがハードにプッシュするところを見ることさえできれば、たとえ無線で何か言われたとしても、見て見ぬふりをするはずだ」

「このスポーツの醍醐味は、このような感情だ。ステアリングを握っているドライバーが異常な精神状態になる時もあるということを、テレビの前の視聴者は理解すべきだ。それに、今でもそういったものを聞けるチャンスがあることが、私にとっては嬉しい」

 現役時代からレースの面白さを削ぐような過度な規制を嫌っていたベルガーはまた、今季の運営側がチームやドライバーに科したペナルティーについて、大部分に対しては理解を示したものの、先週末の角田への処分に対しては「気の毒だった」と同情。これについては、かつてブリヂストンのタイヤエンジニアを務めたキース・ファン・デル・グリントも、オランダの『RTL GP』に対し、「馬鹿げたペナルティーだ。それはレースから面白さを奪うものだった」と批判の声を上げている。

構成●THE DIGEST編集部

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