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「土壇場での悲痛な敗北」“残り20秒”で涙を飲んだ柔道・渡名喜風南を各国メディアも悲劇的に報道。一方でポジティブな見方も

THE DIGEST編集部

2021.07.25

勝ちへの焦りが出た渡名喜は、最後の最後に隙を見せてしまった。(C)Getty Images

勝ちへの焦りが出た渡名喜は、最後の最後に隙を見せてしまった。(C)Getty Images

 7月24日、東京オリンピック柔道女子48キロ級の決勝が行なわれ、渡名喜風南はコソボのディストリア・クラスニチに敗れたものの、日本人として今大会最初のメダリストとなった。

 準々決勝で前回大会の金メダリストであるアルゼンチンのパウラ・パレトを下し、準決勝では最大のライバルと目されたダリア・ビロディド(ウクライナ)を延長戦の末に退けて頂点に手が届きかけた渡名喜だったが、世界ランク1位との決勝戦、残り20秒で勝負に出たところを内股で返され(技あり)、万事休した。

「やっぱり一番輝いている金メダルが欲しかった」と正直に気持ちを語った25歳は、技ありをとられた場面を振り返り、「勝ちにこだわり過ぎ、投げに行ってしまいました。もっと我慢強く、相手をしっかり見て裁ければ、違う展開になっていたと思います」と反省。悔しさを見せながらも、五輪初出場で銀メダルという偉業について「気持ちを前面に出していくという私の柔道を、たくさんの人に見ていただけたと思います」と、前向きなコメントも残した。
 
 渡名喜の戦いぶりについて、国際柔道連盟(IJF)は公式サイトで「クラスニチに比べてパワーで劣る渡名喜は、あらゆるチャンスを利用して相手のバランスを崩し、寝技で勝機を窺った」と振り返りながら、「一方のクラスニチは試合を通して“大人しかった”が、残り20秒で美しい内股を見せ、明確な技ありを奪った」と王者の技を称賛している。

 各国メディアでは、『AP通信』が「土壇場での悲痛な敗北」と決勝終盤での劇的な展開を表現し、米国のテレビ局『NBC』は「高藤直寿が男子60キロ級で金メダルを獲得するほんの少し前、渡名喜はクラスニチに敗れた」と報道。しかし、後者は「日本はチャンスを十分に活かしている」と開催国の初日での好成績をポジティブに捉えている。

 スペインの『Estadio Deportivo』は「渡名喜は最初の五輪で苦い敗北を味わった。自国での戦いで打ちのめされた彼女は、畳の上に横たわりながら深く悲しみ、興奮するライバルの傍らで涙をこらえることができなかった」と綴るとともに、彼女の「この敗北を受け入れなければならない。そしてコロナ禍の中で助けてくれた人々に感謝したい」とのコメントを紹介した。

構成●THE DIGEST編集部

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