横浜の夜空に、歓喜の声がこだました。
東京オリンピック2020は7月27日、ソフトボール決勝が行われ、日本が2対0でアメリカに勝利。2008年北京オリンピック以来、13年ぶりとなる金メダルを獲得した。
これまでのすべてが結実し、その想いをぶつけるかのようなパフォーマンスを見せてくれた。
日本の先発は大エース・上野由岐子。324登板、236勝、2267奪三振などの日本記録を持つ"レジェンド"は、先日39歳の誕生日を迎えてもいまなおジャパンに君臨する。そして13年前の北京五輪、上野は2日間3試合で計413球を投げぬき、この日対峙したライバルのアメリカを下して金メダルをもたらしたのは、今なお語り草だろう。
予選リーグ最終戦では、アメリカがサヨナラで日本を2対1で下していた。その試合はともにベストメンバーではなかったとはいえ、両者のチーム力の高さをまざまざと発揮していた。そして"本番"の決勝も、日本とアメリカの凄さ、レベルの高いゲームが展開される。
1回表、日本の攻撃は1番の山田恵里がヒットを放つ幕開けとなったが、その後は続かず無得点。その裏、エース上野は1死後からあわや本塁打となるフェンス直撃のスリーベースを浴びてピンチを背負う。しかし、3番のチデスターを三振に仕留めると、捕手が取れずにボールは転々。走者は一気にホームを狙ったが、上野が見事なカバーで阻止して先制を許さない。
逆に日本は2回、1死から二塁打で好機を作り、8番・市口侑果の打球はライト後方へ抜けたかに見えたが、ここはアメリカの好守が飛び出して得点ならず。3回も無得点で進んだ中、4回に均衡が崩れる。そのきっかけを作ったのは、"二刀流"・藤田倭だ。
今大会、本塁打&打点の二冠王は4回の先頭打者としてヒットを放つと、送りバントや四球などで2死一、三塁のチャンスが生まれる。ここで、メキシコ戦でサヨナラ打を打ち、見事な遊撃守備で上野を支える9番・渥美万奈が、ヘッドスライディングで内野安打をもぎ取り、日本は先制。エースに大きな援護をプレゼントしたのだった。
さらに5回、日本は走者を置いた場面で藤田に打席を回すと、これ以上の失点は致命傷と見たアメリカは、たまらずエースのアボットを投入。一球一球が重い場面、天才バッターは大型左腕の速球をライト前に運び、大きな大きな2点目をもたらす。
死に物狂いで得点を取ろうとするアメリカだが、イニングを追うごとに球速が増していく上野から3回以降はヒットが出ない。しかし6回、先頭打者が左前打で出塁すると、日本はここでエースを下げる。むろん、これは消極的ではない。なぜなら、今大会4試合に登板して21個の三振を奪い、絶対的クローザーとして君臨する左腕・後藤希友がいるからだ。
最初の打者は三振に仕留めた後藤だったが、後続にヒットを許して1死一二塁のピンチ。そして3番・チデスターが強振した打球は抜けたかに思われたが、三塁手のグラブに当たると、再三の好守を見せてきた渥美がすかさず空中でキャッチし二塁へ送球。圧巻すぎる超絶ファインプレーで併殺を完成させ、一気に流れを引き寄せたのだ。
6回にはアメリカのレフトも本塁打をもぎ取る美技。最高の決勝戦と思わせるプレーを両者が見せていく。そして最終7回、リエントリーで上野が再びマウンドへ。最後は見事に3人でぴしゃりと抑え、日本は2対0で勝利。13年ぶりの金メダルを、再び上野の手でもぎ取った。
復興を掲げた五輪で、エースの、日本の、雄叫びがこだました。
構成●THE DIGEST編集部
【随時更新!PHOTO】いざ2度目の金メダル獲得へ!ソフトボール日本代表ベストショットを一挙公開!
東京オリンピック2020は7月27日、ソフトボール決勝が行われ、日本が2対0でアメリカに勝利。2008年北京オリンピック以来、13年ぶりとなる金メダルを獲得した。
これまでのすべてが結実し、その想いをぶつけるかのようなパフォーマンスを見せてくれた。
日本の先発は大エース・上野由岐子。324登板、236勝、2267奪三振などの日本記録を持つ"レジェンド"は、先日39歳の誕生日を迎えてもいまなおジャパンに君臨する。そして13年前の北京五輪、上野は2日間3試合で計413球を投げぬき、この日対峙したライバルのアメリカを下して金メダルをもたらしたのは、今なお語り草だろう。
予選リーグ最終戦では、アメリカがサヨナラで日本を2対1で下していた。その試合はともにベストメンバーではなかったとはいえ、両者のチーム力の高さをまざまざと発揮していた。そして"本番"の決勝も、日本とアメリカの凄さ、レベルの高いゲームが展開される。
1回表、日本の攻撃は1番の山田恵里がヒットを放つ幕開けとなったが、その後は続かず無得点。その裏、エース上野は1死後からあわや本塁打となるフェンス直撃のスリーベースを浴びてピンチを背負う。しかし、3番のチデスターを三振に仕留めると、捕手が取れずにボールは転々。走者は一気にホームを狙ったが、上野が見事なカバーで阻止して先制を許さない。
逆に日本は2回、1死から二塁打で好機を作り、8番・市口侑果の打球はライト後方へ抜けたかに見えたが、ここはアメリカの好守が飛び出して得点ならず。3回も無得点で進んだ中、4回に均衡が崩れる。そのきっかけを作ったのは、"二刀流"・藤田倭だ。
今大会、本塁打&打点の二冠王は4回の先頭打者としてヒットを放つと、送りバントや四球などで2死一、三塁のチャンスが生まれる。ここで、メキシコ戦でサヨナラ打を打ち、見事な遊撃守備で上野を支える9番・渥美万奈が、ヘッドスライディングで内野安打をもぎ取り、日本は先制。エースに大きな援護をプレゼントしたのだった。
さらに5回、日本は走者を置いた場面で藤田に打席を回すと、これ以上の失点は致命傷と見たアメリカは、たまらずエースのアボットを投入。一球一球が重い場面、天才バッターは大型左腕の速球をライト前に運び、大きな大きな2点目をもたらす。
死に物狂いで得点を取ろうとするアメリカだが、イニングを追うごとに球速が増していく上野から3回以降はヒットが出ない。しかし6回、先頭打者が左前打で出塁すると、日本はここでエースを下げる。むろん、これは消極的ではない。なぜなら、今大会4試合に登板して21個の三振を奪い、絶対的クローザーとして君臨する左腕・後藤希友がいるからだ。
最初の打者は三振に仕留めた後藤だったが、後続にヒットを許して1死一二塁のピンチ。そして3番・チデスターが強振した打球は抜けたかに思われたが、三塁手のグラブに当たると、再三の好守を見せてきた渥美がすかさず空中でキャッチし二塁へ送球。圧巻すぎる超絶ファインプレーで併殺を完成させ、一気に流れを引き寄せたのだ。
6回にはアメリカのレフトも本塁打をもぎ取る美技。最高の決勝戦と思わせるプレーを両者が見せていく。そして最終7回、リエントリーで上野が再びマウンドへ。最後は見事に3人でぴしゃりと抑え、日本は2対0で勝利。13年ぶりの金メダルを、再び上野の手でもぎ取った。
復興を掲げた五輪で、エースの、日本の、雄叫びがこだました。
構成●THE DIGEST編集部
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