39歳の上野由岐子と35歳のモニカ・アボット。日米のエースが、13年の時を経て、オリンピックの舞台で再び相まみえた。

　2008年の北京五輪の決勝では、上野が前日の２試合と合わせて413球を一人で投げ切るという歴史に残る離れ業を演じて日本が３－１で勝利。アボットは最後の２イニングを投げるに留まったが、大会を通して上野に匹敵する活躍を見せた。

　その後、アボットは2010年から日本のトヨタ自動車に所属。同じリーグでお互いを高め合ってきた。

　そんな自他ともに認めるライバルが７月27日、横浜スタジアムで投げ合った。上野が先発したのに対し、アボットは13年前と同じくリリーフに回る。

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  　前者が６回途中までを無失点で抑え、７回にリエントリーして３人でぴしゃりと締めたのに対し、５回途中からリリーフした後者は、藤田倭にタイムリーを浴び、２点目を奪われた。結果は13年前と同じ。日本が２-０で勝利し、ヒロインとなったのは上野だった。

「ウエノとは何度も何度も顔を合わせてきたが、毎回毎回ハードな戦いになる。彼女の素晴らしいところは、常に自分をリセットし、様々な角度から攻められるところ。前回のオリンピックから13年が経ったが、その間も技を磨いてきた」

　試合後の会見で、上野についてこう称えたアボットは、さらに最大級の賛辞を続けた。

「彼女はソフトボールの神様。すべて彼女にとってうまい方向に行くようになる。レジェンドでありアイコンなの」

　上野に負けたのなら仕方ないーー。その表情には清々しさが感じられた。

取材・文●江國 森（THE DIGEST編集部）

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