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ピンチの伊藤美誠へ届け――。無観客の会場に響き渡った石川佳純の大声援【東京五輪】

江國 森(THE DIGEST編集部)

2021.07.30

後輩の伊藤(右)に大きな声でエールを送り続けたのが石川(左)だ。写真:JMPA代表撮影

 7月29日に行なわれた卓球女子シングルスの3位決定戦で、日本の伊藤美誠は、シンガポールのユー・モンユと対戦。孫穎莎に0-4の完敗を喫した準決勝の"後遺症"が危ぶまれたが、見事4-1で勝利し、日本女子シングルス初となる銅メダルに輝いた。

 メダルが懸かった試合とあって、無観客の東京体育館には張り詰めた空気が流れていた。そんななか、ひと際大きな声と拍手で伊藤をサポートしていたのが、日本チームの石川佳純だった。

 前日に行なわれた準々決勝で、石川は他でもないこのユー・モンユに敗れていた。後輩にリベンジを託し、「ファイト!」「いいよ」「思い切って」「悪くないよ」と精一杯の声を届けたのだ。

 伊藤が第1ゲームを落とすと、第2ゲームの前に「楽しんで」と叫んだ。これが伊藤の耳に届いたかは分からない。ただ、その後は4ゲームを連取。セミファイナルでなす術なく孫に屈した20歳が、ようやく普段の姿を取り戻した。

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 2016年のリオデジャネイロ五輪では団体戦でともに銅メダルを獲得した。その時は当時23歳の石川が絶対的エースで、伊藤はまだ15歳の新鋭。5年の時を経て、エースの称号は伊藤のものになった。

 チームメイトではあるが、卓球は個人競技。もちろんライバルでもある。それでも、自身の悔しさを胸にしまい、心から後輩をサポートする姿には、感動すら覚えた。

 8月1日から始まる団体戦。日本代表の結束力は、間違いなく固いはずだ。

取材・文●江國 森(THE DIGEST編集部)

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