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ラグビー

「対峙するのが夢だった…」大会を彩る名手たちが明かす、オールブラックス伝統の“ハカ”が持つ魔力と魅力【ラグビーW杯】

THE DIGEST編集部

2019.10.25

オールブラックスが試合前に行なう儀式「ハカ」。対戦相手に与える心理的影響はいかほどなのか。(C)Getty Images

オールブラックスが試合前に行なう儀式「ハカ」。対戦相手に与える心理的影響はいかほどなのか。(C)Getty Images

 いよいよ10月26日、27日の準決勝を迎えるラグビーワールドカップ。日本中を熱狂の渦に巻き込んできたビッグトーナメントも、残すところ3位決定戦を含めて4試合だ。

 土曜日に横浜国際総合競技場でイングランドと対峙するのが、大会3連覇が懸かるオールブラックス(ニュージーランド代表)である。いまや日本国内では日本代表に次ぐ人気を誇り、スタジアム周辺では毎試合、漆黒のジャージが飛ぶように売れている。

 なかでも彼らの代名詞となっているのが、キックオフ前に行なうマオリの儀式「ハカ」だ。死闘を前にした戦士たちのパワフルな雄叫びとジェスチャーに、観衆はいつの時代も酔いしれてきた。

 では、対戦相手はハカを眺めながらなにを感じているのだろうか。大会公式サイトが各国代表の名手たちにインタビューを試み、ひとつにまとめた映像を公開して大きな話題を呼んでいる。

 準々決勝でジェイミージャパンの前に立ちはだかった南アフリカ代表の司令塔ファフ・デクラークは、「子どもの頃からハカには憧れがあって、対峙するのが夢でした」と熱い想いを明かしつつ、「ハカを見ている間は自分のやるべきことに集中しなければいけません。オールブラックスはハカを通じてさらに気分を高めてきて、最初の10分でとても激しく仕掛けてくるからです」と続けた。

 同じく南アフリア代表のピーターステフ・デュトイは「そこに立っていること自体がとても光栄なんです。相手の挑戦を全力で受け止める。ハカを受けたからには、ベストなプレーで対抗しなければと思えてきます」としみじみ語る。

 スコットランド代表のグレガー・タウンゼンドHCは現役時代の思い出を振り返った。「1996年のダニーデン(ニュージーランドの都市)、初めてのハカをよく覚えています」と切り出し、「ジョナ・ロムーを見ないように、アンドリュー・マーテンズばかり見ていました」と冗談交じりに告白。「周囲を見るとたくさんのカメラのフラッシュが見えました。オールブラックスと戦う前のこの数分の時間は、とても貴重な経験なのです」と評している。

 日本代表からは、まず堀江翔太が登場。「向こうの闘争心を感じます。ハカを見ているときは『こっちもやったるぞ』みたいな気持ちになってますね」とのコメントを寄せた。そして今大会で大活躍した福岡堅樹は「すごく嬉しいことですし、だからこそ最高のプレーをしていい試合をしたい。自分の中では心は熱く、頭は冷静にという良い状態が作れますね」と、その“効果”を口にする。
 そして最後に、オールブラックスのキーラン・リード主将が現われ、ハカへの想いを明かした。

「ハカをすることでとても強い気持ちになります。たまに、ハカは相手への威嚇のためだけにやるものだと誤解されていますが、相手に向けてだけでなく、自分の隣にいるチームメイトのためにも意味があるものです。(コールリーダーの)TJ・ペレナラはマオリ出身で、彼のハカを見ると力をもらえます。彼のハカによって、相手チームもまた、気持ちが高ぶっていると思います」

 日本国内でナマのハカを観られるのはあと2回。向き合った両チームの選手の表情を見比べながら、じっくり噛み締めて鑑賞するとしよう。

構成●THE DIGEST編集部
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