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マラソン・駅伝

【瀬古利彦】「駅伝にこだわるチームが多い」一山麻緒の入賞で女子マラソン復活の兆しも課題は残る

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2021.08.10

東京五輪を終え、女子長距離陣の課題を挙げる瀬古利彦氏。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

東京五輪を終え、女子長距離陣の課題を挙げる瀬古利彦氏。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 激闘を繰り広げた東京五輪が8月8日ついに幕を下ろした。日本陸上競技連盟のマラソン強化・戦略プロジェクトリーダーを務める瀬古利彦氏は、女子長距離陣の活躍をどの様に見ていただろうか。

   ◆   ◆   ◆   ◆

 一山麻緒選手が日本の女子マラソンを救ってくれた。トラックでは田中希実選手や廣中璃梨佳選手と若い力がたくましく育っているなと感じた。

 北京、ロンドン、リオと3大会で女子マラソンは入賞ゼロと低迷が続いていたが、今回、一山選手が8位入賞を果たしたので、女子マラソン指導者や選手たち、みんなの自信になったと思う。

 彼女のランキングからしたら8位は本当に凄いこと。ただもっと地力をつけないといけない。地力が付けば、メダルが見えてくる。10000メートルを30分台で走れる選手がマラソンを走ればまた光明が見えてくる。

 ただ女子の場合、マラソン選手を育てようとする実業団チームがまだ少ない。駅伝にこだわるチームが多い印象。そこをなんとか変えていきたいと私は思っている。例えば5~10キロぐらいしかない駅伝の距離に、1区間でもいいから20キロぐらいの距離を設けたい。各チーム1~2人は20キロを走れる選手がいるようにしないと。そうでもしないとマラソン選手を育てようという気持ちにはならないよね。

 今回も結果が悪かったら、各チームの方針が「やっぱり駅伝強化だ」となる可能性があったけど、一山選手の活躍で「マラソンで行こう」と気にさせてくれたのでは。これから選手層を厚くするのが私たちの仕事だと思う。前回のMGCでは、出場権を得たのが12人で、出場は10人だった。だからまずは出られる選手を30人くらいにしたい。
 
 トラックでも今大会の女子は目立っていたね。田中選手と廣中選手といった若手2人が世界の強豪と渡り合って、臆することなく先頭を引っ張る姿は凄いなと思った。彼女たちにもマラソンをやってもらいたいけど、本人にマラソンをやる意志がないと続かない。マラソンは練習量が半端ではないので、人から言われてやるものではない。ただスピードランナーがマラソンをやるのが最高の形ではある。

 今大会の男子マラソンで6位入賞した大迫傑選手もリオでは5000メートルと10000メートルを走ってるし、男子で優勝したケニアのエリウド・キプチョゲ選手も元々は5000メートルで銀メダルを獲っている。マラソンは、スピードランナーが走ることでメダルを十分に狙える競技だと思う。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部)

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