レースの最大の見せ場とも言える「追い抜き」を年間で最も多く見せたF１ドライバーに、新たに創設された賞「Crypto.comオーバーテイク・アワード」が与えられることとなった。

　F１公式サイトでは「初めてのこの種の賞は、成功を追求するために勇気を示して大胆な動きを見せたドライバーを称えることを目的としている」と創設理由が綴られている。車やコースの特性等によってバトルが見られる機会の多くないF１は、ここまでレギュレーション変更等によって見せ場を増やそうと努力してきているが、今回の件もその一環と言えよう。

　賞にその名が冠せられることになった暗号通貨会社「Crypto.com」の最高マーケティング責任者であるスティーブ・カリフォウィッツ氏は、「この賞は、ドライバーが前進するために必要な勇気を発揮する瞬間を祝福することで、我々の価値を輝かせることができる。今季もすでに幾つかの驚くべき追い抜きが見られており、受賞者が誰になるのかを見るのが待ち切れない」と語っている。
  　今季11レースを終えた時点で、最も多くの追い越しを披露したのは、４度の世界制覇を果たしているセバスティアン・ヴェッテル（アストンマーティン）だというが（F１公式サイトにより）、その回数やランキングなどは現時点で発表されていない。

　専門メディア『MOTORSPORT WEEK』によれば、「ファステストラップ・トロフィー」「ポールポジション・アワード」「ファステスト・ピットストップ・アワード」に次いで誕生したこのアワードの受賞者を決定する“基準”に言及。重要になる「追い抜き」の定義については、詳細を固めている最中だというが、コース上に約200メートルの間隔で20～25個のチェック機器が設置されることになるという。

　基本的に、追い抜きはコース上で行なわれたものが対象となり、バトルの中でのものであること（チームオーダーによる順位変動は含まれない）。また、クリーンなレースを推進するため、バトルによってスピンやクラッシュなどのアクシデントが生じたものも対象外となる他、パンクなどのマシントラブルに見舞われた車を追い抜いても、カウントはされないとのことである。