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角田裕毅を酷評する伯メディアが「彼の安眠を妨げる」存在として注目する「後釜候補」とは?

THE DIGEST編集部

2021.10.05

マシントラブルなどもあり、ここ最近は結果を残せていない角田。今は雌雄の時だ。(C)Getty Images

 今季よりF1にデビューし、ここまでの15レースでは5戦で入賞を飾る一方で、初歩的かつ不用意なミスで週末を台無しにするなど、浮き沈みを経験してきたスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅だが、イタリアGP前に来季のチーム残留が決定している。

 本人が「クラッシュが多くてチームに負担をかけていたので、(残留決定は)少し驚いていた」と語ったのに対し、チームのフランツ・トスト代表は「ユウキはここまで、非常に良い仕事をしている」と評価し、角田とピエール・ガスリーというドライバーズラインアップについて「他の選択肢はなかった」と語っていた。

 このチーム代表の言葉からは、日本人ルーキーへの信頼と期待の高さが窺えるが、一方でトスト代表はレッドブル・グループには現在、F2で活躍するリアム・ローソン、ユーリ・ヴィップスといった逸材が控えており、昨年、F2時代の角田も参加したアブダビでのヤングドライバーテストでF1マシンを駆る予定であることを明らかにしている。

 残留は決まったものの、角田のシートが安泰ということではなく、今季終盤から来季は、下からの突き上げを感じながら、こうした「F1ドライバー候補」たちの存在をチーム首脳から忘れさせるほどのパフォーマンスを発揮し、結果を残す必要があり、角田にとってはなかなか心の休まる時はなさそうである。
 
 そんな中で、ブラジルの総合サイト『terra』が、また新たな角田の「ライバル」に注目。「ツノダの安眠を妨げる新たな理由」と題した記事の中で取り上げたのは、今季のFIA-F3選手権を制した18歳のデニス・ハウガーだ。2019年にイタリアとドイツのF4選手権に参戦し、いずれにおいても年間優勝を争った(イタリアで優勝、ドイツで2位)ことで大きな注目を浴び、2020年のF2での困難なシーズンを経て今季、プレマレーシングの一員として4度の優勝を飾り、2レースを残して頂点に到達したノルウェー人ドライバーである。

 来季はF2に昇格することが確実とされる、2017年以来のレッドブル・ジュニアプログラムの一員を、同メディアは「今季の最もありがたい驚き」と表現。そして、ローソン、ヴィップスと並んで、次のレッドブル系F1ドライバーの「特別な候補」に挙げる。

「チャレンジングなルーキーイヤーで、幾度もミスを犯し、ガスリーに大きな後れをとるなど、素晴らしい成績からは程遠いシーズンを送っている」角田との比較として、この日本人ドライバーが下部カテゴリーで才能を感じさせるパフォーマンスを発揮したものの、F3以降のタイトル獲得はならなかったのとは対照的に、ハウガーは結果を残したことを挙げ、来季、彼がF2でタイトルを争う活躍ができれば、「F1で失望を繰り返しているツノダの安眠を妨げる」ことになると、同メディアは予想した。

 もっとも、このような逸材に対して同メディアは「2022年でのF1抜擢は早すぎる」とも綴っており、F2で結果を残してF1チームの目を惹き続けながら、経験を積むことが大事であるとも暗に指摘している(それは1年でF3、F2をクリアした角田に対する皮肉ともとれるが……)。

 角田にとってはかなり厳しい内容の記事ではあるが、わずか20のシートしかないF1という世界最高峰の舞台では当然の厳しさとも言えよう。その中で生き残り続けることが一流の証であり、角田がそれを示し続けることが期待される。

構成●THE DIGEST編集部

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