格闘技・プロレス

「イノウエによる支配的な8ラウンド」井上尚弥の貫禄のKO劇に英メディアも脱帽!ディパエンは「ボロボロになっていた」

THE DIGEST編集部

2021.12.15

相手の出方を見ながら、的確にハードな一撃を当てていった井上(左)。一方的にやられたディパエンもタフさを見せたが、次第に追い込まれていった。(C)Getty Images

 最後は渾身の一発で"ぶっ飛ばした"。

 12月14日、両国国技館で、ボクシングWBA&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(大橋ジム)は、IBF同級5位アラン・ディパエン(タイ)と対戦。2019年11月のノニト・ドネア戦以来となる国内戦で、危なげなく8回途中TKOで勝利を収めた。

 前日会見で「期待、想像を超える試合にする」と自らにプレッシャーをかけるように宣言した井上は、序盤から攻めに攻めた。ムエタイ出身者らしく高めにガードを構えるディパエンのボディーを執拗に打ち続け、格の違いを見せつけるように主導権を握った。

 しかし、「タフで、すごく根性を感じた」(井上)というディパエンは打たれ強く、なかなか倒れない。それでも7回にようやくボディーで相手を後退させた井上は、8回に渾身の左ストレートを相手の顔面に炸裂。これを被弾してもつれるように後ろに倒れ込んだタイの30歳は、一度は立ち上がったが、ほどなくしてレフェリーが試合を止めた。

 あらためて驚異的な破壊力を見せたモンスター。その盤石の強さに海外メディアからの賛辞は止まらない。
 
 この試合を「ナオヤ・イノウエによる支配的な8ラウンド。28歳の日本人は当代屈指のハードパンチャーとしての矜持を見せた」とレポートした英衛星放送『Sky Sports』は、KOシーンを次のように描写した。

「イノウエは、試合中は常にタイの挑戦者を支配し続けた。コンスタントに繰り出すパンチで鼻を血まみれにさせ、何度も相手をぐらつかせた。そして8回にディパエンをリングに沈めた。この時、ディパエンは勇敢にも立ち上がって、試合続行の意思を見せたが、イノウエの猛攻の前にレフェリーが介入をせざるを得ないほどにボロボロになっていた」

 また、井上は試合後に「ドネアとの試合もあれば、スーパーバンタム級も視野に入れて、視野を広げて考えていきたい」と来春のビッグマッチに含みを持たせた。この最強チャンプの気になる今後について『Sky Sports』は、「2022年の統一戦実現は間違いない」としたうえで、こう論じた。

「今回の勝利でイノウエは、2022年のビッグマッチを潜在的に決定付けた。現時点では、39歳でありながらWBCチャンピオンのドネアとの対決が有力視されているが、パンデミック前に予定が組まれていたWBOチャンピオンのカシメロの可能性も捨てきれない。そもそもカシメロとは来年の対決が決定的だったと見られていた」

 来年に向けては、「春にビックマッチを大橋会長に組んでいただくつもり。さらに燃えるような試合を組んでもらいたい」とも宣言した井上。ドネアとカシメロのいずれかとの対決となっても、興味深いマッチメイクとなりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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