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格闘技・プロレス

“仰天プラン”を飲んだ那須川天心が語る武尊戦。「全員が心から試合を見たいわけじゃない」に込められた想い

THE DIGEST編集部

2021.12.25

日本格闘技のカリスマがようやく交わる。それだけに武尊(手前)も天心(奥)も胸を高鳴らせた。(C)THE DIGEST

日本格闘技のカリスマがようやく交わる。それだけに武尊(手前)も天心(奥)も胸を高鳴らせた。(C)THE DIGEST

 まさに急転直下で、格闘界で望まれ続けたマッチメイクが合意に達した。そう、K-1の3階級制覇王者で現スーパーフェザー級王者の武尊(SAGAMI-ONO KREST)と那須川天心(TARGET/Cygames)の試合がついに実現したのである。

 このドリームマッチの実現に向けた始まりは、15年8月にまでさかのぼる。「BLADE FC JAPAN CUP 2015 ―55kgトーナメント」を全試合KO勝ちという快進撃で勝ち抜いた天心がリング上で「K-1の武尊選手ですが、かかってこいやって感じです。全試合KOなので僕の方が上だと思っています」と煽ったのがキッカケだった。

 その後も何度も対戦を要求したのは天心だった。これに武尊がオフィシャルな場で呼応したのは、18年のK-1大阪大会。皇治に勝利したリング上で「実現するのは難しいことなんですよ」と漏らしながらも、「時期はわからないですけど僕は必ず実現させようと思っています」と宣言した。両者とも「格闘技界を何としても盛り上げたい」という気持ちで、ファンや関係者以上に団体の垣根を越えた対戦を望んでいたのは間違いない。

 もっとも、両陣営の交渉は膠着状態が続いた。スポンサーを含めたあらゆる問題や私情までもが複雑に絡み合った。SNS上では本人たちを含めた両陣営に非難も飛び交う異常事態。来年4月でのキックボクシングからの引退を決めていたという天心曰く「もうないのかな」という決裂寸前の段階だった。
 
 しかし、12月24日に行なわれた会見に同席したRIZINの榊原信行CEOが「一昨日、昨日、24時間前まで最終調整をして今日に至るくらいのことだった」と、年越しを前にようやく両者の思惑が合致。ついに実現に至ったのである。

「決められたことをやるだけ」と語る天心は当初4月に予定されていたキックボクシングの引退時期を延ばした。文字通りの“仰天プラン”の提案を受け入れた格好だ。ゆえに武尊とともに出席した24日の会見では、「いろんな関係者に迷惑をかけている」と胸中を打ち明けた。

「大晦日はRIZINに恩返ししたい。だから、RIZINのファンに卒業する姿を見せたかった。だから、『じゃあ、中立のリングである必要がある武尊戦はないのかな』って思ってたんですけど、榊原さんから『引退を延ばしてくれ』って提案が来て、まさかそこでそれくるかと。しつこいなというか。その発想は普通ないよねというのがすごいあった。でも、みんなが見たいと思ってくれているし、ここまでにいろんな関係者様にも迷惑をかけていますし。そこから調整に入ってやっと決まりました。あとは、自分のファイターとしての気持ちというか、やっぱ強い相手と闘いたかった。

 ここ最近ずっと僕は試合をしてはいるんですけど、立場的にずっとチャンピオンで、ずっと挑戦者を受けて受けてということがすごい多かった、というか、それしかなくて。なかなか周りも、どうせ勝つしみたいな雰囲気があった。それでKOできなかったら、『大丈夫か?』みたいなことすごい言われたりとかした。でも、武尊選手との試合が決まって、僕のモチベーションも、久々にチャレンジャーというか、やってやるよという気分になりましたね」
 
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