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「かなり精神がぐじゃぐじゃになっていた」羽生結弦が本番前の心境を吐露。4A挑戦は「暗闇の中を歩くようなもの」

THE DIGEST編集部

2021.12.26

クワドアクセルを試合で初披露した羽生。両足着氷となったものの、果敢な挑戦で会場を沸かせた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 12月26日、さいたまスーパーアリーナで開催中の全日本フィギュアスケート選手権は大会4日目を迎え、男子シングルのフリースケーティング(FS)を実施。前年優勝の羽生結弦がショートプログラム(SP)に続いて1位となり、総合322.36点で2年連続6度目の優勝を飾った。

 FS曲で昨シーズンと同じ『天と地と』を選択した羽生。冒頭の4回転半ジャンプ(クワドアクセル)は、両足着氷でアンダーグレート判定がついたものの、その後すべてのジャンプを完璧に決め、2位の宇野昌磨(総合295.82点)に25点以上の差をつける圧勝だった。

 試合後には、ひとこと「疲れました」と素直な心境を明かすと、今回の4A挑戦について「自分のなかでは6割の達成度でできてこれてはいたので、なんとかもったかな」とコメント。「ループとは比べ物にならないくらい体力は消耗しました」と、その過酷な内容を振り返っている。
 
 また「あまりにも飛べなさ過ぎて若干失望していて、本番いくまで、かなり精神がぐじゃぐじゃになっていた」という羽生。4A挑戦の道のりについて「ひたすら暗闇を歩いているようなもの」としたうえで、「ひたすら暗闇を歩いていて頭をうって脳震盪で死んじゃうんじゃないかなと思いながら練習やってました」と話した。

 さらに「あれができるようになったのはここ2週間くらい」と続けると、「自分のなかでに限界を感じていた」と苦悩を吐露。「でも悩んで苦しんでせっかくここまで来たんだったら、やっぱり下りたいと思っている自分がいる」とし、「めちゃくちゃ皆さんに迷惑かけるかもしれませんが もうちょっとだけ頑張ります」と意気込んだ。

 前人未到の挑戦を続ける男子シングルの大エース。これで北京五輪内定も決まり、3連覇のかかる舞台への挑戦も確実となったが、はたして今後はどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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