格闘技・プロレス

キングカズの偉大さゆえに。三浦孝太が快勝後に“カズダンス”を躊躇した理由「簡単に踊っていいものではない」【RIZIN】

THE DIGEST編集部

2022.01.01

鮮やかなKO勝利を飾った三浦(左)。試合後に父親と抱き合った表情は安堵に満ちていた。(C)RIZIN FF

 勝負を決めたのは、尊敬してやまない父親が見せてきた"足技"での一撃だった。

 12月31日にさいたまスーパーアリーナで行なわれた「RIZIN.33」で、元ホストのYUSHI(Potencial GYM)から勝利を掴みとった三浦孝太(BRAVE)。デビュー戦白星を呼び込んだのは、「サッカーをやっていた時の動きが活かされた」と思い切って繰り出したサッカーボールキックだった。

 もちろん足技だけではない。三浦はギロチン、三角締め、腕十字と流れるような寝技も披露した。いずれも相手のYUSHIが「あんなに巧いと思ってなかった」と驚くほどのクオリティー。ポテンシャルの高さは存分に見せつけた。

 今大会のオープニングマッチを鮮やかに彩った三浦は、試合後にリング上で人差し指を天に突き立てるようなポーズを披露した。まるで、日本サッカー界のレジェンドである父・三浦知良の代名詞ともなっているゴールパフォーマンス、「カズダンス」を彷彿とさせるものだった。

 しかし、ブラジル仕込みの小刻みなステップと、独特の腕を使うダンスは見せなかった。恥ずかしさからやりきれなかったのか。

 なぜ躊躇したかを聞けば、本人には国民的スターの次男ならではの想いがあった。
 

「カズダンスはやるかをちょっと悩んだんです。でも、カズダンスっていうのは、お父さんがサッカーを誰よりも愛してやってきて、ファンの方と作り上げてきたものなんで。僕が簡単に踊っていいものではないのかなと思った。でも、最後のポーズだけは真似させてくれとやらせてもらった」

 父親と比較される点については、「『二世』だったり、『親の力』と言われるのは仕方がないと思っている」と語る三浦は、こう続けた。

「自分は今までの人のために何か自慢できるものは、たいしてなかったんですが、それでも応援してもらえる人はいると気づけた。本当に力になった」

 もっとも、技術的には、まだ穴だらけである。それは本人も「実績でここ(RIZIN)に上り詰めたわけではない」と認めている。いつか偉大なキングを超えるため、"リトル・キング"の闘いはここからだ。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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