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平野歩夢が “トリプルコーク1440”で切り開いた新時代!3度目の五輪で悲願の金メダルなるか【北京五輪】

松原孝臣

2022.02.03

スケートボードで東京五輪に出場した平野は、進化した姿でスノーボード界に戻ってきた。(C)Getty Images

スケートボードで東京五輪に出場した平野は、進化した姿でスノーボード界に戻ってきた。(C)Getty Images

 悲願の世界一を達成できるか。スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢は、新たな武器とともに、3度目の大舞台に挑もうとしている。

 もはやその名前はスノーボード界を超えて知れ渡っている。2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪でともに銀メダルを獲得するなど数多くの活躍もさることながら、それだけの実績を重ねながら、昨夏の東京五輪にスケートボードで出場したことでも大きな注目を集めることになった。異なる競技でオリンピックに出場する選手はこれまでにもいたとはいえ、似ているようでまったく異なるテクニックを要するというスノーボードとスケートボードだ。そこに挑戦しようとする意志と、その末に五輪代表入りをつかんだチャレンジに、称賛が相次いだ。

【動画】「冗談でしょ!」現地実況も驚愕の平野の超大技をチェック

 あれから約半年。再びスノーボードへと舞い戻った平野は、さらに驚きをもたらした。ワールドカップ優勝など短期間の準備で着実に成績を残したこともさることながら、昨年12月に行なわれた国際大会『Dew Tour』で、「トリプルコーク1440」を成功させたのだ。縦に3回転、横に4回転するこの技は、世界の誰も成功したことのない、大技であった。

 それはハーフパイプを、さらに一歩進める試みでもある。ハーフパイプは、大会のたびに技の難度が進化してきた。2010年のバンクーバー五輪では縦2回転、横に3回転する「ダブルコーク1080」が主流だった。2014年ソチになると、横の回転を増やした「ダブルコーク1440」を施工させたユーリ・ポドラドチコフ(スイス)が金メダル。平昌では、これを連続技として成功させたショーン・ホワイトと平野歩夢が、1、2位を占めた。平野が新技を決めたのは、こうした流れをさらに未来へと推し進めるものでもある。

 だからといって、大会では安閑とはしていられない。取り組んできたのは平野だけではないからだ。平野が練習の段階で成功させたことに刺激を受けて、同じく北京五輪代表の戸塚優斗、平野流佳たちも昨秋のスイス合宿でチャレンジしたという。彼らもまた、いずれはトリプルコーク1440の時代が来ることを見越し、スイス合宿の雪上で行なう前の段階から準備を進めていた。
 
 また、平野が大会で成功させたことは海外の選手に対しても大きなインパクトをもたらしている。日本勢を含め、オリンピックで挑む選手が複数名出てきても不思議はない。流佳が語った言葉は、それを示唆している。

「(トリプルコーク1440を)成功させないとメダルはちょっとないかなと思います」

 平野自身、それは予期していたのではないか。昨年12月にはこう語っている。

「ここ半年くらいで、急にみんなも気合入ったというか、スイッチが入って、レベルも急に上がった印象」

 さらにこうも語っている。

「1人が新たなことにトライすれば、次々とみんながトライして、それで周りのレベルが上がる」

「新たなことにトライするその1人」が、今回は平野であり、それに追随する選手が出ることを感じているのは、この言葉にうかがえる。

 縦3回転、横4回転というハーフパイプの新時代を平野は開いた。その結果として、北京五輪はこれまでにない高いレベルで争う舞台になることが予想される。

 その勝負の行方は分からない。それでも平野は、自身が開いた扉の先を信じて、3度目のオリンピックで世界一のパフォーマンスを披露することを誓っている。それが叶ったとき、まだ手にしていない色のメダルも手中におさめることができるはずだ。

文●松原孝臣

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