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高梨沙羅ら5人失格で波紋のジャンプ混合団体戦にFIS内部でも「スキャンダル」「惨事」の声【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.09

2度目のジャンプ後に、肩をすくめて涙した高梨。その姿に世界からも彼女の気遣うコメントが相次いだ。(C)Getty Images

2度目のジャンプ後に、肩をすくめて涙した高梨。その姿に世界からも彼女の気遣うコメントが相次いだ。(C)Getty Images

「私の失格のせいで皆んなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です」

「謝ってもメダルは返ってくることはなく、責任が取れるとも思っておりませんが、今後の私の競技に関しては考える必要があります。それ程大変なことをしてしまった事深く反省しております」

 2月8日に自身のインスタグラムを更新した高梨沙羅は、前日の混合団体での失格を受けてファンや関係者へ複雑な胸中を明かした。真っ黒な画像とともに、公開された彼女の言葉は、無念さが伝わるものだった。

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 混合団体戦で日本の先陣を切った25歳は、1本目の跳躍後にスーツの規定違反により失格が告げられてしまう。それでも「最後まで飛びます」と周囲に言い放って2回目のジャンプを成功させたものの、その目には大粒の涙が溢れていた。

 そんな涙ながらに競技をやり遂げた高梨を含め、5人が失格となった今回の規定は「厳しすぎる」という声が強まっている。

 もっとも、マテリアルコントロール(道具の規定チェック)責任者を務めたポーランド人のアガ・ボンチフスカ氏は、ドイツ紙『Kikcer』の取材に「新たな測定の手順は一切踏んでいない。従来通りに私は私の仕事をしただけだ。彼女たちのスーツは明らかに大きいものだった」とキッパリと回答している。

 だが、シリエ・オプセットが失格となったノルウェー代表のブレード・ブラーテン監督は、今回の測定の仕方がいかに異質だったかを力説している。
 
 ブラーテン監督は、母国紙『VG』に対して、通常の測定では、選手が腕を身体から30センチほど横に伸ばして待つものの、7日は腕を頭の上に置いたままだったと説明。そのうえで「いつもならひとりで行なっている検査が、あの日はなぜか3人もいた」と強調し、ボンチフスカ氏の言う「従来通りだ」という発言に異を唱えた。

「我々には少なくとも5人の選手が、『いつもと違う方法でやっていた』と話している情報がある」

 さらに国際スキー連盟(FIS)内部からも批判の声が出ている。ドイツ紙『Stuttgarter Zeitung』にコメントを寄せたFISマテリアル委員会のメンバーで、元ドイツ代表監督のアンドレアス・バウアー氏は、「スキージャンプの惨事だ」と断言。そして、こう論じている。

「もしも、選手や監督たちが指摘しているように、測定方法が変更されていた場合は、チームとコーチには事前に知らされなければならない。私が見る限り、選手がうずくまり、泣き、完全に取り乱しているあの試合はスキャンダルだ! 世界最大のスポーツの舞台で、選手たちのこんな姿を映してはいけない。我々のスポーツにとって大きなイメージダウンだ」

 異例ともいえる数の選手が規定違反で失格となった今回の団体戦。そのジャッジに対する波紋は広がり続けている。

構成●THE DIGEST編集部

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