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スキージャンプ異例の5人失格を業界の御大も疑問視。責任者を「ふさわしくない人物だった」と糾弾【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.09

高梨をはじめ多くのジャンパーたちが困惑した今回の団体戦。国際的舞台で起きた騒動が波紋を広げている。(C)Getty Images

高梨をはじめ多くのジャンパーたちが困惑した今回の団体戦。国際的舞台で起きた騒動が波紋を広げている。(C)Getty Images

 文字通り世界が注目する檜舞台での“惨事”が物議を醸している。2月7日に行なわれた北京五輪のスキージャンプの混合団体で、日本の高梨沙羅を含む女子選手5名の選手がスーツ規定違反を告げられたのだ。

 太もも周りが2センチ大きかったとされて失格した高梨。だが、思わぬ判定を受けたのは、彼女だけではない。個人戦銀メダリストのカタリナ・アルトハウス(ドイツ)をはじめ、シリエ・オプセット、アンナ オーディン・ストロム(ともにノルウェー)、ダニエラ イラシュコ・シュトルツ(オーストリア)も1回目ないしは2回目の跳躍後に違反を取られ、ポイントが無効化された。

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 まさに異例の出来事だった。それは日本テレビで解説を務めたソチ五輪日本代表の竹内択が「1人が失格ってことは稀にあるんですけど、ドイツもオーストリアもっていうのは……。いままでワールドカップでもないような展開」と指摘する通りである。

 それだけに、各国メディアや識者からも、マテリアルコントロール(道具の規定チェック)責任者たちに対する怒りの声が大きくなっている。ドイツ代表のチームマネージャーを務めるホルスト・ヒュッテル氏は、地元誌『Spiegel』などの取材で、「ありえない」と憤慨した。

「多くの人々が言うように、私も今回のことはパロディーだと思っている。まったく笑えないがね。スキージャンプの4大国にこのようなことが起きるなんて考えられない」

 彼をはじめとして、今回の結果に不満を抱く人々の怒りの矛先は、マテリアルコントロールに向けられている。ノルウェー代表のブレード・ブラーテン監督は「いつもと違う方法でやっていたと聞いている」と訴えるほどだ。
 
 そうしたなかで、より厳しい意見をぶつけたのは、昨年3月まで国際スキー連盟(FIS)のマテリアルコントロールの責任統括を務めていたオーストリア人のゼップ・グラッツァー氏だ。現在67歳の御大は、今回の団体戦のジャッジを「理解できない」と断言。そのうえで、自身の後任であるミカ・ユッカラ氏を次のように批判した。

「ミカは内部でゴタゴタが続いているとも聞いている。そもそも私は、以前から彼を指導していたときに、現場で統括する能力が欠けていると見ていた。選手やコーチの目線になってコミュニケーションが取れていないのは明らかな問題だったんだ。

 ミカはたった一日で全てを牛耳ろうとして、マテリアルコントロールの活動を誤った認識で組織化してしまっている印象があり、私はふさわしくない人物だと思っている。このスキージャンプという繊細な競技において、正しい判断を下すための感覚が欠けているんだ」

 スキージャンプは公平性を保つために、スーツのゆとりは男子が1~3センチ、女子が2~4センチとアバウトに決められている。そのうえでジャンパーたちが規定ラインのギリギリを攻めるため、許容範囲の誤差はある程度、見逃されてきたという。

 そうした歴史があるなかで、北京五輪の本番になり、突如として厳格な判断が下された。選手やチーム関係者が困惑する現状を見るに、今回の騒動は、やはり問題視されても仕方がないだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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