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高梨沙羅ら5人失格は「厳しすぎる」男子担当の“介入”が原因。ドイツのレジェンドが苦言「事前に伝えるべきだった」【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.10

高梨をはじめ、5人の女子選手が涙したスキージャンプ混合団体。世界規模で問題視されている騒動に新展開が見られた。(C)Getty Images

高梨をはじめ、5人の女子選手が涙したスキージャンプ混合団体。世界規模で問題視されている騒動に新展開が見られた。(C)Getty Images

 世界を騒然とさせた“スーツ規定問題”の舞台裏が明らかになった。

 2月7日に行なわれた北京冬季オリンピックのスキージャンプ混合団体で、日本の高梨沙羅ら4か国の5選手が「スーツの規定違反」という理由で失格となった。前代未聞とも言えるこの出来事は、世界中で「茶番」と評され、物議を醸した。
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 測定者と選手側の証言は、当初から大きく食い違っていた。試合日にマテリアルコントロール(道具チェック)責任者を務めたポーランド人女性のアガ・ボンチフスカ氏は、「新たな測定の手順は一切踏んでいない」「私は仕事をしただけ」と主張したが、一方で規定違反とされたシリエ・オプセット(ノルウェー)は、「全く異なる方法でスーツを測定していて、これまでとは違う方法で立つように言われた」と証言。さらにノルウェー代表のブレード・ブラーテン監督は、通常は1人で行なう検査が、この時は「なぜか3人だった」としたうえで、「何も説明がない」と訴えている。

 そうしたなかで、ドイツ・メディアが、騒動の原因とも言える事実を報じた。同国のポータルサイト『Watson』など複数メディアによれば、通常なら男子種目には男性、女子種目には女性が担当するマテリアルコントロールに、今回は、突如として、女子の測定に男子担当者がついてきたというのだ。

 驚きの介入をしたのは、非常に厳格な測定で知られるフィンランド人のミカ・ユッカラ氏。コントローラーの前任者であるジョセフ・グラッツァー氏が、「今の彼は、試合場に立つにふさわしくはない」と指摘する人物だ。
 

 同メディアは、問題となっているスーツについて、「個人戦で女性のコントローラーが許可したものだった」と指摘。そのうえでユッカラ氏が介入し、普段と異なる方法で測定したために大混乱が起きたとした。

 当然、関係者たちからは怒りの声が上がっている。ドイツの伝説的ジャンパーで、2002年のソルトレークシティー五輪の団体で金メダルに輝いたスベン・ハンナバルト氏は、「ユッカラが厳しいことは誰もが知っている。だから、どのチームも細心の注意は払っていたと思う」と前置きしたうえで、次のように論じた。

「ルールは守らなければいけないものだ。それを示したのは悪くない。だが、よりにもよって、すべての選手が勝ちたいと願うオリンピックという場で、あの厳しさは、とくに女子ジャンプ選手にとっては厳しすぎる。

 試合の前日、もしくは2日前には、ユッカラ自身が、『自分のガイドラインに従って適切にコントロールする』と、周囲に伝えるべきだったんだ。あるいは、女子には女性のコントローラーがつき、ユッカラはいつも通り男子をコントロールすべきだった」

 明確なルールを事前に打ち出せなかったために、騒動に至ったとみられる今回の団体戦。「スキージャンプの惨事」(元ドイツ代表監督のアンドレアス・バウアー氏談)という声もあるなかで、国際スキー連盟がどう動くか、今後の展開が注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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