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自国は僅差で敗退も「『おめでとう』と言いたかった」。カーリング界の重鎮が日本の精鋭たちを祝福した理由【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.19

ギリギリで準決勝進出を決めた日本。歓喜に沸く彼女たちを祝福したジョーンズ(右)の行動には、賛辞が寄せられた。(C)Getty Images

 歴史的快挙の舞台裏には、感動のエピソードがある。

 2月18日、北京五輪のカーリング女子準決勝が国家水泳センターで行なわれ、日本代表のロコ・ソラーレは、前日に敗れていたスイスと激突。見事に8-6でリベンジを果たし、2大会連続の表彰台入りを決めるとともに、日本勢として史上初の銀メダル以上を確定させた。

 この列島も沸かせた歓喜の勝利に結びついたのが、1次リーグ最終戦で決まった劇的な4強決定だった。日本はスイスに敗れていたものの、20分遅れで、準決勝進出の可能性があった韓国が敗戦したために、勝ち上がりが決まった。この時、日本とイギリスと戦績(5勝4敗)で並んでいたカナダにも突破のチャンスが残されていたが、「ドローショットチャレンジ(DSC)」の差で敗退となった。

「終わったと思っていた」(鈴木夕湖)と覚悟していた日本の選手たちは一転して決まった準決勝進出に感涙。インタビューエリアではそれぞれが喜びを分かち合った。そこにスッと入ってきたのが、カナダのスキップであるジェニファー・ジョーンズだった。47歳の重鎮は、藤澤五月と吉田知那美に声をかけると、二人を祝福してギュッと抱きしめたのである。

 僅差での敗退におそらく悔しさも抱えていたに違いない。そのなかでジョーンズは何を想い、日本の精鋭たちをハグしたのか。母国放送局『CBC』のYouTubeに公開されやインタビューで、本人が胸の内を明かした。
 
 まず、「最後の試合に勝って、私たちは他のチームの試合を見ていました。もちろん望むような展開ではなかったし、少なからず悔しい想いはあった」と、ショッキングな結果に対する本音を語ったジョーンズは、「それでも、彼女たち(日本の選手)を見かけたときに、『おめでとう』と言いたかった」と語った。

「彼女たちは、私にカーリングとは何かを教えてくれる。純粋な喜び、仕事に対する姿勢、スポーツマンシップ、試合への愛、そして氷上で全て出し切ること。そういうものすべて見せてくれる。

 彼女たちも、あの時はジェットコースターに乗っているような感覚だったと思う。なぜなら韓国が勝ったら、彼女たちは敗退してしまうから。なんと表現したらいいかは難しいけど、そんな日本の選手たちに何かしてあげたかった。だから、あの時はハグをしたり、『一生懸命頑張ったね、おめでとう』と言いたかった」

 カーリング界のベテラン戦士から熱い想いを受けたロコ・ソラーレの面々。彼女たちは、2月20日に行なわれるイギリスとの決勝戦に勝利し、ジョーンズの想いに応えられるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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