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高梨沙羅が涙した“スーツ問題”にドイツの重鎮が異論! ジャンプ前のチェック案に「ナンセンス」と指摘する理由は?

THE DIGEST編集部

2022.02.26

北京五輪において、その姿が連日大きくクローズアップされた高梨。彼女の涙は世界でも話題となった。(C)Getty Images

北京五輪において、その姿が連日大きくクローズアップされた高梨。彼女の涙は世界でも話題となった。(C)Getty Images

 去る2月20日に北京五輪は幕を閉じた。17日間に渡って開催されたウインタースポーツの祭典が生み出したのは、歓喜に沸いたシーンばかりではない。アスリートたちが失意の涙を流す姿も世間に大いにクローズアップされた。
【北京五輪PHOTO】涙を乗り越えて驚異的な大ジャンプ!北京で全力を振り絞った高梨沙羅の雄姿をお届け

 そのなかで、おそらく最も物議を醸したのは、今月7日に行なわれたスキージャンプ混合団体でのスーツ規定違反だ。今大会から導入された同競技では、4か国5人の選手が着用したスーツの規定違反という理由で失格になった。

 1本目の跳躍後に失格となった日本の高梨沙羅が涙を流し、同じく処分を言い渡されたドイツのカタリナ・アルトハウスが「FIS(国際スキー連盟)が、全てを台無しにした。何がしたいのかわからない」と訴えた問題は大きな波紋を広げ、各国メディアが原因を追究した。

 理由はさまざまに挙がった。女子選手を検査したアガ・ボンチフスカ氏によるチェック方法の急な変更や、男子選手の検査官であるミカ・ユッカラ氏による女子選手の検査への介入など、あらゆる指摘がされたが、明確な原因解明には至っていない。

 人間によるジャッジの限界ではないのか――。そんな声も聞こえる現状に苦言を呈したのが、スキージャンプ界の重鎮であるマルティン・シュミット氏だ。
 
 2002年のソルトレークシティー五輪で金メダルを手にしたドイツのレジェンドジャンパーは、ドイツ・メディア『SPORT』のインタビューで、「決して新たに浮上した問題なんかではないんだ」と指摘した。

「この問題については、FIS内部でも色々と議論はされているんだ。あの北京オリンピックでは、マテリアル・コントロール(道具をチェックする審査員)による不正確さが明るみになった。だけど、ハッキリ言って、この状態は何年も続いてきたんだよ」

 さらに「スキージャンプのマテリアル・コントロール部門の全体が、FISから抜け落ちてしまった感がある」と訴える44歳は、「一刻も早く改善し、明確なルールを設ける必要があるんだ。全員がそのルールを順守しないといけないようにしないとダメだ」と強調。そのうえで、一部で提唱されているジャンプの直前にチェックするという意見には反対した。

「それはナンセンスだと個人的には思う。そのルールでは、あまりに時間的な問題がありすぎるからだ。たとえば、ひとりの選手が正規のやり方でチェックされると、全体にかなり長い時間を要する。そうなると、試技を待っているジャンパーたちに複雑な影響を及ぼしかねない」

 続けざまに「現状ではどうしようもないところではあるし、問題を改善するために途方もない仕事が待っていることも分かる。だが、来シーズンに向けて、大きな変化が必要なんだ。今のままではいけない」と語気を強めたシュミット氏。はたして、スキージャンプ界の悪しき問題メスを入れようと訴えるレジェンドの声は、FISに届くのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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