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モータースポーツ

新たに浮上したF1の悩みの種「ポーポイズ現象」とはいったい何? 攻略には縁石やバンプが重要なポイントに!?

THE DIGEST編集部

2022.02.28

多くのチームが苦しめられた「ポーポイズ現象」。それは新レギュレーションに対応したなかで、行なわれた合同テストで明らかな問題として浮き彫りになった。(C)Getty Images

多くのチームが苦しめられた「ポーポイズ現象」。それは新レギュレーションに対応したなかで、行なわれた合同テストで明らかな問題として浮き彫りになった。(C)Getty Images

 2月23~25日にスペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットで行なわれたF1の合同テストで、新レギュレーションに対応した2022年型マシンを走らせた各チームには様々な発見があった。なかでも大きな話題となったのが「ポーポイズ現象」だ。
【動画】F1公式が分析した「ポーポイズ現象」。明らかな浮き上がりは各チームの課題に?

 空力面で「グラウンドエフェクト」をコンセプトとする今季の各車は、フロア下の「ベンチュリトンネル」に空気を流し、「狭い空間では気流が速くなる=気圧が低くなる」という現象を利用してダウンフォースを得る。

 その際にベンチュリトンネルと路面の隙間が狭くなると、今度は空気の流れが滞り、それによってダウンフォースが減少した車は浮き上がる。すると、ふたたびベンチュリトンネルと路面の隙間が広くなることで――という繰り返しにより、車が上下動を繰り返す。

 イルカによく似た小型の鯨類「ポーパス(ネズミイルカ)」に由来する言葉で、水面を泳ぐ様から「跳ねる」といった意味合いを持つこの名称がつけられた現象は、ドライバーを危険に陥れるものであり、かつて1970~80年代にグラウンドエフェクトカーが導入された際にも大きな問題となったものである。

 今回の合同テストでもメルセデス、フェラーリ、アルファロメオがこれに苦しめられ、アルファロメオはこれによってダメージを受けて走行を妨げられたという。車高の変化で、問題自体は解決できるものの、それは新レギュレーションでのパフォーマンスを犠牲にするものであり、各チームは解決策を見つけ出すまでに頭を悩ませると予想される。
 
 今季ウィリアムズでF1復帰を果たしたアレクサンダー・アルボンは、このポーポイズ現象について詳しく言及しており、「(今回テストが行なわれた)バルセロナのコースは走行がスムーズな良いコースであり、ポーポイズ現象も1か所でしか起こらなかったが、我々はこれが多くの場所で起こるコースでも走ることになる」と指摘している(モータースポーツ専門メディア『THE RACE』より)。

「他のサーキットに行く時、我々は今季の車の本当の難しさを知るだろう」と予想する彼は、縁石の使い方やバンプの乗り方がパフォーマンスに大きな違いを生み出すとして、「バクー(アゼルバイジャン)は、ストリートサーキットでも簡単ではないコースだ。また、シンガポールとオースティン(米国のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ)では、非常にトリッキーな状態になると思う」と語った。

 また、彼は、今季の車そのものについては「フィーリングは良い」と好印象を示すも、「これまでとは明らかに違う」と、特有の難しさも指摘する。

「最も大きな違いは重量感と剛性。F2とF1をミックスしたような感覚であり、非常に堅さがあるため、バンプとうまく調和する必要があり、ラップタイムを失わないためには、縁石を使う際に正確なドライビングが求められる」

 メルセデスのジョージ・ラッセルもこの現象に悩まされたことを明かし、「安全上の懸念材料になる」と指摘している。次の合同テストが行なわれるバーレーン(3月10~13日)に解決に向けての方向性が示されるかどうかが注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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