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マラソン・駅伝

「神のような人」瀬古利彦が“異次元の走り”を披露したキプチョゲを絶賛!「よくぞこの地球上に現われた!」【東京マラソン】

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2022.03.07

レース後の会見で瀬古氏(左)は、優勝したキプチョゲ(右)の走りを称賛した。(C)東京マラソン財団

レース後の会見で瀬古氏(左)は、優勝したキプチョゲ(右)の走りを称賛した。(C)東京マラソン財団

 3月6日の東京マラソンで、日本国内最高記録となる2時間2分40秒で42.195キロを駆け抜けたエリウド・キプチョゲ(ケニア)。自身が持つ世界記録まで1分1秒及ばなかったものの、自己3番目の好タイムで優勝を飾った。

 スタートの号砲とともに勢いよく走り出した37歳は、ペースメーカーを風よけに利用できる陣形を組み、世界記録ペースで前半を展開した。その驚異的なペースにはペースメーカーも苦戦を強いられたようで、3人いたペースメーカーのうち2人が23キロ過ぎに脱落。26キロ過ぎにはキプチョゲ自らペースメーカーの前へ出て、果敢に攻めた。

 そんな彼に最後まで喰らいついたのは同じくケニア出身のアモス・キプルトだ。2人になると勝負に徹した王者はやや牽制する形をとった。それでも36キロ過ぎの給水を利用し、一気に突き放すと、そのまま東京駅のゴールまで走り抜き、強さを見せつけた。

 日本陸上競技連盟のロードランニングコミッションリーダーの瀬古利彦氏は、「世界ナンバー1のキプチョゲ選手の走りを目の前で見れて本当に嬉しく思います。やはり世界1番の走りは迫力があって、フォームも綺麗で、何も言うことがないぐらいの走りをしてくれました」と賛辞を贈った。
 
 オリンピックのメダルには縁がなかったものの、15戦10勝というマラソン通算成績を持つ瀬古氏でも「凄すぎて、私が語るのは恥ずかしいぐらい」と漏らすキプチョゲは、当初は5000メートルを主戦場としていた。同種目では、2003年パリ世界選手権での金メダルを皮切りに、2004年アテネ五輪で銅、2007年大阪世界選手権で銀、2008年北京五輪でも銀と非凡な才能を発揮。

 2012年にマラソンへ転向すると、2016年リオ五輪、2021年東京五輪と連覇を達成している。20年ほど世界のトップで戦うキプチョゲに日本マラソン界のレジェンドは、「普通は金メダル獲るとモチベーションが切れてしまう。でも今日の走りを見ても世界記録を出すんだって気持ちがあるじゃないですか。そういう選手はなかなかいないですね」と舌を巻く。

「特殊というか私らがこうやって論評する人ではない。もう神のような人。尊敬どころではない。よくぞこの地球上に彼みたいな選手が現われたなという感じ」

 公言どおり「ストロング」なレースを披露した絶対王者。間近で見た異次元ぶりにファンだけではなく、関係者も刺激を受けたに違いない。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部)

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