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プルシェンコ主催ショーの衝撃事故は人災だった!? リンク縮小、暗い照明、場内温度、選手への重圧など露メディアが問題点を指摘!

THE DIGEST編集部

2022.04.18

主催するアイスショーで重大事故が起きたプルシェンコ氏。最近は何かと話題を提供している。(C)Getty Images

 現地土曜日、ロシア・サンクトペテルブルクで開催されたアイスショーでの転倒事故は、ショッキングなニュースとして世界に打電された。
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 過去の五輪でふたつの金メダル(個人と団体)に輝くエフゲニー・プルシェンコ氏が主催する「Union of Champions」がその舞台だった。北京五輪にも出場して8位入賞を果たした18歳の男子スケーター、エフゲニー・セメネンコが、スタンドを凍りつかせるアクシデントに見舞われる。4回転ジャンプを試みたところ、着地に失敗して側頭部を氷上で激しく痛打。何度か立ち上がって演技を続けようとするが平衡感覚を失って倒れ、最後は最前列の客席に倒れ込んだのだ。

 すぐさまストレッチャーで運び出され、最寄りの病院に救急搬送。幸いにも大事には至らなかったようだが、頭部には裂傷の跡があり、打ちつけた箇所が箇所なだけに、しばらくは慎重な診断が続けられるという。セメネンコ自身の意識ははっきりしており、担当医とのコミュニケーションも問題ないようだ。

 ロシア国内で大々的に報じられた今回の事故。指摘されているのが運営サイドの不備で、人災ではなかったかと疑問視する向きが強い。スポーツメディア『Sport 24』は「もちろんセメネンコの技術的な問題はあるかもしれないが、この日のリンクが異常な状態であったことは確かだろう」と記し、問題点を洗い出している。

 まずは何より顕著だったのが、リンクの不自然な大きさだ。通常の公式大会であれば縦60メートル×横30メートルが基準となるが、アイスショーでは規定がない。今回はそれが極端に狭かったようで、セメネンコが窮屈に感じてジャンプの踏み切りや着地に不安を抱えていた可能性が高いという。縮小された理由は「少しでも多くの観衆を入場させ、間近で観戦させようとしたため。スケーターと観客の距離はかなり密接していた」と論じている。

 そこに追い打ちをかけたのが、照明の暗さだったか。アイスショーではパフォーマーにのみスポットライトを当てる演出が一般的だが、今回はその照明の光量自体が少なく、足元が見にくくなっていたという。しかもリハーサルは会場の照明を全開にして行なわれており、セメネンコが本番でそのギャップに対応できなかった可能性も示唆している。

 加えて、当日のリンク上には水溜まりができていたという観衆の目撃情報も紹介。となれば当然、滑りやすくなるのは必定だ。普段なら会場内はマイナス4度からマイナス3度で調整されるところ、「密集した1万2000大観衆の熱気もあって温度が上昇していたと推測される」と伝えた。
 

 ポイントはまだある。先週末はプルシェンコ氏主催のショーのほか、指導者としてのライバルであるエテル・トゥトベリーゼ氏が仕切るショーと、同じく名伯楽として鳴らすタチアナ・タラソワ氏の功績を讃えるショーも別都市で開催されていた。『Sport 24』は「プルシェンコは彼女たちに内容で負けられないと感じていたはずで、参加スケーターたちに公式大会と遜色のない、難易度の高いパフォーマンスを求めていた」と見る。セメネンコにも不要なプレッシャーがかかっていたのかもしれない。

 ただ、プルシェンコ氏自身はそうした指摘に対して声明を発していない。翌日曜日に公式インスタグラムを更新し、「パワフルでマジカルでクールな一日だった! 1万2000人という大観衆の前で最高のものを提供できた!」とショーの成功をアピール。セメネンコに対しては「早く回復して戻って来てほしい! きっと大丈夫だと思う!」と触れた程度で、「まだまだこのショーは全国を周っていく。サンクトペテルブルクでは11月に僕の記念ショーがあるからお楽しみに!」と、最後まで自己中心的なコメントに終始した。

 セメネンコの転倒後は、4回転ジャンプなどリスクの高いチャレンジは控えるように通達されたという。エリザベータ・トゥクタミシェワやアリョーナ・コストルナヤらが妖艶な演技を披露し、北京五輪・女子シングルの銀メダリストであるアレクサンドラ・トゥルソワは初挑戦となるペアでのパフォーマンスで喝采を浴びた。

構成●THE DIGEST編集部

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