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フィギュア

「恐るべき精神力だ!」プルシェンコ主催ショーで頭部強打の18歳が驚異のスピード復活!「悪夢の一曲を演じた」

THE DIGEST編集部

2022.05.09

衝撃の転倒事故から3週間。セメネンコ(写真)は周囲も驚く回復ぶりでリンクに帰ってきた。(C)Getty Images

衝撃の転倒事故から3週間。セメネンコ(写真)は周囲も驚く回復ぶりでリンクに帰ってきた。(C)Getty Images

 衝撃の転倒アクシデントからわずか3週間、18歳のフィギュアスケーターが驚きの復活パフォーマンスを披露した。
【関連動画】セメネンコが側頭部を強打した実際の映像はこちら

 現地時間5月8日に行なわれたのが、2002年ソルトレイク五輪・アイスダンスの銀メダリストで名振付師のイリヤ・アベルブフが主催するアイスショーだ。なんとその舞台に登場したのが、ロシア・フィギュアスケート界を背負って立つエフゲニー・セメネンコ。周囲の心配をよそに、華麗な演技で観衆を魅了したという。

 事の発端は4月16日、エフゲニー・プルシェンコ氏が主催するアイスショーでの事故だった。4回転トゥループを試みたセメネンコは着地に失敗して転倒し、頭部を激しく氷に打ちつける。何度か起き上がって演技を続けようとするが平衡感覚を失って倒れ、最後は観客席に頭から突っ込んだ。

 場内が騒然とするなか、セメネンコはサンクトペテルブルクの救急病院に緊急搬送される。意識がしっかりしており、外傷も軽微だったために周囲はひと安心したが、コーチであるアレクセイ・ミシン氏は「患部が患部だけに慎重を期する必要がある。復帰を急ぐつもりはない」と断言。ロシア国内では年内復帰が絶望的で、最悪の場合は現役キャリアが幕を下ろすと予想するメディアもあったほどだ。

 セメネンコは1週間の入院を余儀なくされ、退院後も自宅で1週間を安静に過ごす。それでも5月に入ると練習を再開させ、選手本人がアベルブフ氏のアイスショー出演に意欲を示したという。コーチのタチアナ・ミシーナ氏が次のように説明する。

「当初は5月末にでも本格的なトレーニングを再開できればと考えていましたが、ゼーニャ(愛称)の状態が良く、ドクターとも相談して今回の出場を決めました。3回転アクセルや4回転ジャンプを封印しながら、軽いバージョンのショートプログラムを試してきましたね。あの日(事故に遭った日)と同じ曲でショーに臨みたいと決めたのはゼーニャ自身で、とても象徴的だと思います。このままでは終わらない、という彼の強い意思の表われです」
 

 かくして、セメネンコはアイスショーで観衆から万雷の拍手を受けた。難易度の高いジャンプこそ回避したものの、プルシェンコ主催ショーと同じショートプログラムの曲「アダージョ・ト短調」を情感たっぷりに演じ切ったのである。

 ロシア・メディア『Sport Express』は「スケート仲間やファンの厚いサポートが彼を奮い立たせたようだ。まさに悪夢となったあの曲を再演したのだから、恐るべきメンタルタフネスだと言うほかない」と称え、「セメネンコの新シーズンは輝かしいものになるに違いない。そんな期待を抱かせるほど、素晴らしいパフォーマンスだった」と評している。

 北京五輪・男子シングルで8位入賞を果たしたセメネンコ。前日のミシーナ・コーチは「すでに新しいプログラムも完成しています。5月下旬から本格的にトレーニングを再開できればと考えていますので、期待しておいてください」とコメントした。

構成●THE DIGEST編集部

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