食と体調管理

「試合でパフォーマンスを発揮するには体づくりが大事」日本中を熱狂させた3Pショット! 女子バスケ日本代表・林咲希のこれまでのキャリアとそれを支える食生活

小永吉陽子

2022.06.01

写真:徳原隆元

 アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。第18回は東京オリンピックで銀メダル獲得に貢献した林咲希選手。

 高校の部活動では食べて体を鍛え、大学では栄養学を専攻して自己管理の大切さを学んだ。食生活を通してのこれまでの歩みと、日本代表とWリーグで多忙を極めた2021-22シーズンの活動について聞いた。

■オリンピック銀メダルと多忙だった今シーズン

――長いシーズン、お疲れさまでした。改めて銀メダルへと大躍進した東京オリンピックのことを聞きたいのですが、オリンピックで印象に残っていることは何ですか? 

 チーム全員で一つになって戦ったことが心に残っていますね。目標に向かって一丸となって準備したからこその銀メダルだと思っています。

 自分自身のことで言えば、オリンピック前の強化合宿ではまったく3ポイントが入らなかったのですが、オリンピックでは確率良く入ったのでホッとしました。自分の中ではもしシュートが入らなくても、ディフェンスで崩れないように頑張ろうと思ってやっていて、それができたので、いいパフォーマンスにつながったのだと思います。

 私自身、ディフェンスがこんなに楽しいと感じたのは東京オリンピックが初めてだったんです。ディフェンスで崩れずに頑張れたことと、ディフェンスが楽しいと思えたことがオリンピックの一番の収穫でしたね。

――東京オリンピックでの銀メダル獲得は、林選手のバスケットボール人生を変えるぐらい、大きなターニングポイントになったのではないでしょうか?

 銀メダルを獲得してファンの方や周りの反応がとても多かった、そういう意味では「オリンピックってすごいな」というのは感じました。

 ただ、自分自身は「目の前のことを頑張る」というスタンスでバスケをやっているので、オリンピックに出たからといって自分の中身は何も変わっていなくて、「目の前の試合を頑張った」という感覚なんですよ。無観客だったので変な緊張感もなくやれたので、もう少し時間が経つと「すごい舞台だったんだな」と思うかもしれません。

 オリンピック後にたくさん取材を受けるようになって感じたことは、今は女子バスケの熱が高まっているので、「この熱を冷まさないように、これからも頑張っていきたい」というのは強く思いますね。


――今シーズンはとてもタフなスケジュールで、オリンピック、アジアカップ、ワールドカップ予選と国際大会が続きました。その後に迎えたWリーグはどんなシーズンでしたか? 

 今シーズンはすべての代表活動に選んでもらい、アジアカップ以降はキャプテンも務めたので、すごく勉強になった1年でした。ただ、代表活動の期間がとても長かったので、今シーズンはENEOSでの練習がなかなかできなかったんですね。

 開幕戦の山梨戦も負けそうになりましたし、悪い内容で負けた試合もありました。満足したのは優勝した皇后杯くらいで、それ以外はスッキリした内容の試合があまりなかったです。

 自分のシュートに関しては、確率良く決めることはオリンピックで自信がついたのですが、それをチームで発揮するには、噛み合わせる練習が不十分だと感じました。今シーズンは練習の大切さを痛感したし、練習の質を上げることが足りなかったという思いです。

――今シーズンは残念ながら右足首の疲労骨折によってプレーオフではコートに立つことはできませんでしたが、どんな気持ちで仲間が戦うプレーオフを見ていたのでしょうか。

 プレーオフには出たい思いでリハビリに取り組んでいたのですが、リハビリの途中から足の痛みが大きくなって不安がありました。インソールを変えてみたり、走り方や足の着き方を調整しながら練習したのですが、それでもダッシュしたりストップしたりすることが難しく、続けて走ることができなかったので、これはしっかり治さなければと認識して、試合に出ないという判断を自分で決めました。

 そう決めてからは、みんなが楽しくプレーできるようにサポートしようという思考に変わりましたね。今後もリハビリを続けて足をしっかりと治して、ENEOSと日本代表でいい状態でプレーできるようにしたいです。