格闘技・プロレス

那須川天心vs武尊まで残り2日——。日本格闘技界が生み出した”ふたりの最高傑作”はいかなる闘いを繰り広げるか?

橋本宗洋

2022.06.17

大一番を直前に控える那須川(左)と武尊(右)。はたしてその試合展開はどうなるだろうか。写真:徳原隆元、金子晃大

 ここまでくると「楽しみ」というより、何か厳粛な気持ちになってくる。『THE MATCH 2022』(6月19日、東京ドーム)まであとわずか。日曜の夜には、那須川天心vs武尊の決着がついている。

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 チケットはあっという間にソールドアウト。地上波中継がなくなるという"事件"もあったが、それでこの対戦の価値が下がるわけでもない。那須川と武尊、どちらも日本格闘技界が生み出した最高傑作であり、業界の至宝と言っていい。

 そして2人が闘うのは1度きりだ。那須川はこれがキックボクシング最終戦。この試合の後はボクシングに転向する。"一期一会"だから、その結果はとてつもなく重い。

 那須川から対戦要求があったのは、2015年のこと。アンチが何を言おうと、周りの状況がどうあろうと、2人とも勝ち続け、自身の存在を高め続けた。那須川はキックボクシング41戦全勝28KO。武尊も41戦し、黒星は若手時代の一つだけ。KOは24を数える。

 どちらもKO率が高い選手だが、そのファイトスタイルは大きく違う。武尊は超攻撃的。ひたすら前に出て相手に圧力をかけ、パンチでなぎ倒す。ヒザ蹴りをはじめ蹴り技も得意だが、やはり突出した武器は左右の拳だ。攻めるから当然、反撃もされる。相手の攻撃を食らってグラつくこともある。それでも前に出て、パンチの嵐で相手を呑み込んでしまう。

 一方、那須川はなんでもできるし弱点がない。パンチ、キックどちらでも倒せる。飛びヒザ蹴りやバックキック、胴回し回転蹴りといった意表を突く技も持っている。カウンターも得意中の得意だ。近年は技術で競り勝つような試合も多い。つまり圧倒するだけでなく"負けない"試合もできるわけだ。

 難攻不落の那須川。しかし、そんな彼を倒すとしたら、やはり武尊しかいないだろう。その規格外の攻撃力、突破力なら"神童"のディフェンスやカウンターをも突き破るかもしれない。だがもちろん、少しでも攻撃が雑になれば強烈なカウンターが待っている。

 おそらく、武尊はいつものように多少の被弾は覚悟の上ではないか。彼自身、対策よりも自分の闘い方を徹底するほうが大事だと語っている。
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勝負の鍵となるのは「那須川の闘い方」?