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格闘技・プロレス

「間違いなくドネアより良い試合をした」“問題児”カシメロの現状をフィリピン識者が惜しむ。井上尚弥への挑発は「実を結ばない」

THE DIGEST編集部

2022.06.19

井上との対戦を要求し続けているカシメロ。しかし、その言動には冷ややかな目線を向けられている。(C)Getty Images

井上との対戦を要求し続けているカシメロ。しかし、その言動には冷ややかな目線を向けられている。(C)Getty Images

 もはや世界のトップ戦線に返り咲くことは叶わないのか。元WBOバンタム級王者のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)のキャリアが揺れている。

 過去4度の同ベルトの防衛を果たし、複数団体の統一も可能性としてはあった。それだけにカシメロの最近の言動はあまりに惜しい。

 昨年12月にはポール・バトラー(英国)との防衛戦を前日計量時にウイルス性胃腸炎を主張して“ドタキャン”。この仕切り直しで行なわれる予定だった今年4月の再戦時には、減量目的によるサウナ使用が発覚。これが会場となった英国のボクシング管理委員会が設ける医療ガイドライン違反に該当し、ふたたび中止に。王者としての“品格”を問われた33歳は、WBOから正式に王座を剥奪されたのである。

 当のカシメロ本人は、リング外で健在をアピールはしている。今月7日に開催されたWBAスーパー&WBC&IBF世界バンタム級王座統一戦後には、同胞のノニト・ドネア(フィリピン)を破った井上尚弥(大橋)を「あいつはモンスターじゃなく亀野郎だ」と挑発。さらにWBOのフランシスコ・“パコ”・バルカセル会長には「バトラーと戦うチャンスをください。もし自分が勝てば、ナオヤ・イノウエに挑戦する。素晴らしい試合をすると約束する」とメッセージを発信した。
 
 しかし、33歳のフィリピン人戦士は相手にされていない感が否めない。今年4月に急遽行なわれたジョナス・スルタン(フィリピン)との暫定王者決定戦を制してWBO正規王者となったバトラーが「もう名前を聞くのもうんざり」と言い放てば、度重なる挑発を受ける井上もSNS上で「もう用はない」とバッサリと斬り捨てている。

 フィリピン国内での空気間もポジティブなものではない。地元放送局『GMA Network』のアナリストを務めるエド・トレンティーノ氏は「彼のアピールが実を結ぶとは思えない」と断言。さらに「もしも、カシメロがまだWBOのベルトを保持できていたらなば、間違いなくイノウエ戦はできていた。だが、いまやイノウエが最優先としているのはバトラーだ」とし、次のように続けた。

「世界タイトルを持っているかどうかは、バンタム級の完全統一を目指すイノウエにとっては何よりも重要なんだ。プロモーターたちにとっても交渉の材料となる。もしも、世界的なタイトルがなければ、世界は存在に気付かないんだ。カシメロには残念だというほかない。もしも、イノウエ戦が実現していれば、全盛期にある彼は、間違いなくドネアよりもいい試合をしただろう」

 井上が世界的な地位を高め、バンタム級戦線は注目を集めている。そのなかで完全に蚊帳の外に置かれているカシメロは、この先、どのようにしてキャリアの再興を図るのか。ボクシング界屈指の“問題児”は間違いなく岐路にいる。

構成●THE DIGEST編集部

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