専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【名馬列伝】「牝馬の時代」の先駆けとなったエアグルーヴ。97年天皇賞・秋を制して全馬のトップへ駆け上がる!<後編>

三好達彦

2022.07.10

97年の天皇賞・秋を制したエアグルーヴ。牝馬としては26年ぶりに年度代表馬にも選出された。写真:産経新聞社

97年の天皇賞・秋を制したエアグルーヴ。牝馬としては26年ぶりに年度代表馬にも選出された。写真:産経新聞社

 エアグルーヴが復帰したのは翌1997年6月のこと。この夏から秋にかけては、彼女にとって最良のシーズンとなる。

 初戦のマーメイドステークス(GⅢ、阪神・芝2000m)を快勝すると、続く札幌記念(GⅡ、札幌・芝2000m)では2着のエリモシックにラクな手応えで2馬身半の差を付ける圧勝を遂げて、順調に調子を上げていった。
【名馬列伝】「普通の牝馬じゃない、牡馬にも勝てる馬だ」名調教師を驚愕させたエアグルーヴ、“ぶっつけ”オークスで度肝を抜く強さ<前編>

 そして迎えたのが、古馬になってからの最大目標とした天皇賞・秋(GⅠ、東京・芝2000m)である。

 女王を迎え討つのは、3歳にして前年にこのレースを制し、本年も前哨戦の毎日王冠(GⅡ、東京・芝1800m)を勝って臨んでくるバブルガムフェロー。皐月賞(中山・芝2000m)とマイルチャンピオンシップ(京都・芝1600m)を制しているジェニュインという、トップオブトップの牡馬2騎という強力な布陣となった。

 それでもジェニュインを抑えて2番人気に推されたエアグルーヴは、先行するバブルガムフェローを目前に見る好位置をキープ。2頭は流れに乗りつつ、互いを意識しながら直線へと向いた。

 先に抜け出したのはバブルガムフェローで、エアグルーヴはぎりぎりまで待って追い出される。武豊、岡部幸雄という名手二人が最高の技術とスピリットを愛馬に注入しながら最後の200mにわたって火の出るような激闘を繰り広げる。そして熱狂するファンの目前でエアグルーヴがバブルガムフェローをクビ差抑えてゴール。天皇賞・秋が2000mに短縮された1984年以降、牝馬の優勝はこれが初めてのことで、名実ともに牝馬のエアグルーヴが全馬のトップに立った瞬間だった。

 ちなみに3着のジェニュインは、バブルガムフェローからさらに5馬身もの差を付けられていた。

 その後も、ジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)で英国のピルサドスキーの2着、有馬記念(GⅠ、中山・芝2500m)でシルクジャスティスの3着と健闘。これらの好走も評価されて、エアグルーヴは1997年度のJRA賞で年度代表馬に選出された。牝馬がこの座に輝いたのは1971年のトウメイ以来、実に26年ぶりのことだった。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号