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【名馬列伝】「牝馬の時代」の先駆けとなったエアグルーヴ。97年天皇賞・秋を制して全馬のトップへ駆け上がる!<後編>

三好達彦

2022.07.10

 翌1998年も大阪杯(GⅡ、阪神・芝2000m)と札幌記念を制したエアグルーヴだったが、ジャパンカップが2着、宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200m)とエリザベス女王杯(GⅠ、京都・芝2200m)が3着と健闘しながらも、GⅠレースの勝利は収められなかった。

 そして年末の有馬記念でグラスワンダーの5着としたのを最後に現役を引退した。

 エアグルーヴは繁殖生活に入っても優れた仔を産み出した。
 

 セレクトセールで2億3000万円(税別)で落札された初仔のアドマイヤグルーヴ(父サンデーサイレンス)は、2003・2004年のエリザベス女王杯を連覇した。そしてアドマイヤグルーヴは繁殖入りしてから、2015年の春季クラシック二冠を制したドゥラメンテを送り出した。ちなみにドゥラメンテは種牡馬として、菊花賞と天皇賞・春を制したタイトルホルダー、ことしの牝馬クラシック二冠を勝ったスターズオンアースを送り出している)。

 また8番仔のルーラーシップ(父キングカメハメハ)は2012年の、香港のクイーンエリザベス2世カップ(GⅠ、シャティン・芝2000m)に優勝し、種牡馬として2017年の菊花賞馬、キセキを出すなどの活躍を見せている。

 エアグルーヴは残念ながら2013年の4月に最後の産駒を産んだ際に起こした内出血により命を落とした。しかし競走馬として、また母親としても歴史的な活躍を見せた彼女の血は、子供たち、孫たちを通して今も命脈を保ち続けている。

 日本競馬は2000年代に入って牡馬と互角以上の勝負ができる傑出した名牝が続出する「牝馬の時代」に突入するが、エアグルーヴはその先駆けとなる希有な存在として歴史に名を刻んだ。
<後編・了>

文●三好達彦
【動画】牝馬エアグルーヴが全馬のトップに立つ! 97年天皇賞・秋をプレーバック

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