バレーボール

絶賛された謝罪会見も「ものすごく反響が怖かった」。トヨタで学んだ川合俊一新会長で日本バレー界が変わる【独占インタビュー】

北野正樹

2022.07.15

インタビューに応じていただいた川合会長。謝罪会見時の素直な心境など、会長に就任してからの3か月を振り返った。写真:JVA提供

 日本バレーボール協会(JVA)会長に、元日本代表でタレントとしてテレビでもお馴染みの川合俊一さん(59)が就任して、約3か月。前任者が不祥事の隠蔽で解職され信用失墜の中での登板だったが、公表を積極的に勧めた大阪府協会(OVA)理事による着服問題の対応では、危機管理能力の高さを評価された。「反響が怖かった」という謝罪会見から、様々な課題に向けJVAから日本のバレー界を変えようとしている激動の3か月を振り返った。

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 7月10日まで、男子の「FIVBネーションズリーグ2022」(VNL)が開かれていた丸善インテック大阪。大会4日目の8日、メディアが原稿などを書くプレスルームにスーツ姿の長身男性がすっと現れた。「いつもバレーの記事をありがとうございます」。川合会長だった。
私も含めて居合わせた約20人の記者やカメラマンにとって、初めての経験ではなかっただろうか。コロナ禍に関係なく国際大会ではゾーン規制が厳しく、メディア関係者がVIP級の大会役員に接触しようと思ってもその機会はない。そうした事情も知っての行動だったのだろう。
「(挨拶に行くのは)当たり前のことですよ」。なぜ、驚かれるのかというように振り返った川合会長。細かい出来事だが、JVAの変化を見た瞬間だった。
 

 就任して約3か月。1週間のうち、仕事量はGMを務めるトヨタ自動車ビーチバレーボール部で2割、タレント活動が1割で、残り7割はJVAの仕事に充てる。JVA評議員を務めていた時期には、眞鍋政義監督(当時)の要請を受け、女子代表のブロック練習に出向いたりしてバレーに時間を割いたこともあったが「今は圧倒的にJVAが多いですね」という。

「最初の1カ月は、前任者の不祥事を受けスポンサー様やテレビ局、関係団体への謝罪でした。いろいろ出てくる問題を解決したりしていますが、一番大変なのが答えのないものを決めなければならないことですね。『会長が判断して下さい』というものです。VNL期間中に亡くなられた安倍晋三元総理に対する試合開始前の黙とうもそうでした。参議院選挙投票前日で、もしかすると自民党に票が流れたりすることがあるかもしれない。だけど、公益法人である日本バレーボール協会の管轄は内閣府になります。その長を務められた方なのだから、(政治的な問題には)関係なく判断しました」と、組織のトップとしての苦悩も明かす。
 
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「謝罪会見をやることで、袋叩きになるかなと思いました。顔が緊張しているのが分かりました」