男子バレー日本代表が大会前に目標と掲げたネーションズリーグでのベスト８進出を果たした。主将の石川祐希は、決勝トーナメント進出という目標達成に「率直に嬉しく、ホッとした」と述べつつも、「（決勝トーナメントで）１勝するのが次の目標」と新たなターゲットを打ち立てた。

　準々決勝で対戦するのは、昨夏の東京五輪を制し、２年後の自国開催へ向け強化が進むフランス代表だ。世界のトップ８はすべて侮れないチームとはいえ、真の強豪と言うべき相手を前に日本代表はいかに戦うべきか。

　予選ラウンドで対戦した際にはストレート負けを喫した。主将の石川や、西田有志、関田誠大といった主力メンバーではなく、セッターに大宅真樹、オポジットに大塚達宣が入り、アウトサイドヒッターは高梨健太と富田将馬、ミドルブロッカーに髙橋健太郎、村山豪、リベロに小川智大が入る布陣で臨んでいた。

　結果こそストレート負けではあるが、１、２セットはフランスを相手に堂々の戦いぶりを見せた。とりわけ機能したのが、村山のサーブと、髙橋健のブロック、高梨のスパイクだった。
  　ジャンプサーブとジャンプフローターサーブを織り交ぜ、相手の攻撃を絞らせる村山のサーブは王者フランスに対しても非常に効果的だった。相手も大型セッターでブロック力に定評があるアントワーヌ・ブリザールや、世界屈指のテクニシャンでもあるイアルバン・ヌガペトは出場していなかったとはいえ、村山が相手の嫌なポイントを的確に狙い、絞った攻撃に対してミドルブロッカーの髙橋健や、ブロック力に定評のある高梨は、相手のコースを的確に封じた。

　そして、抜けたボールはリベロの小川を中心にした攻守でつなぎ、ハイセットも高梨が相手ブロックを見ながら絶妙な位置に打ち切る。格上と言うべき相手であっても、サーブで攻め、チャンスボールからの攻撃を的確に仕留めれば、十分戦えると証明してみせた。

　両チームともメンバーが異なった予選での戦いとは異なり、日本、フランスともに短い休養を挟んで迎えるイタリア・ボローニャでの準々決勝はベストの布陣で臨むことが予想される。

　しかもフランスはこれまでの予選を、日本以上にさまざまなメンバーで戦っており、大会の個人ランキングを見ても圧倒的な数字を残して上位にランクする選手はいない。つまり裏を返せば、それだけ誰が出ても強いという証でもある。まさに世界最強と呼ぶにふさわしい相手だ。