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バレーボール

【女子バレー】NL全勝も、正“セッター”不在の真鍋ジャパン。関菜々巳、松井珠己らの熾烈なレギュラー争いの行方は?

THE DIGEST編集部

2022.06.29

真鍋監督が率いる火の鳥NIPPON。竹下佳江さん以降、正セッターが定まっていない。(C)Getty Images

真鍋監督が率いる火の鳥NIPPON。竹下佳江さん以降、正セッターが定まっていない。(C)Getty Images

 4試合を残し、参加16チーム中唯一の全勝。ネーションズリーグ終盤を迎えるなか、女子バレー日本代表は絶好調のまま首位をひた走る。攻守の大黒柱である新キャプテンの古賀紗理那、対角に入るアウトサイドヒッターの井上愛里沙の好調ぶりも躍進の要因ではあるが、注目は攻撃を操るセッターだ。

 開幕当初は松井珠己がスタメンで出場を果たすも、2戦目のドミニカ共和国戦からは関菜々巳が先発出場。どちらもミドルを絡めたコンビバレーを武器とするが、相手に的を絞らせないトスワークという面では、司令塔争いは関が一歩リードしていたようにも見えた。

 柏井高在学時から“ミドルを使えるセッター”として頭角を現し、卒業後に東レへ入団するとすぐさま正セッターの座をつかみ、試合出場を重ねてきた。ヤナ・クラン、黒後愛、石川真佑といった強力なアタッカー陣が揃うチームであり、勝負所ではサイドに攻撃が偏るケースも見られるものの、隙あらばミドルを使う、自らの武器を活かし優勝争いを繰り広げてきた。

 しかし、レギュラーラウンドを全勝し、悲願の優勝を目前にした20/21シーズンは決勝でJTに敗れるなど、勝負所で勝ち切ることができず、そのたび「セッターの自分に責任がある」と関は涙を流してきた。日本代表にも登録され、国際大会出場の機会を得たが、最後までメンバーに残り続けることができず、ここでも悔しさを味わった。

 目標としてきた東京五輪出場、さらに東レで味わった悔しさを晴らすべく、トスワークだけでなくトレーニングにも積極的に取り組み、今季は基礎体力も向上。特に脚力が高まり、試合でも多少レシーブが乱れても素早く走ってボールの下に入り、そこからトスを上げる。体幹も安定しており、アタッカーが高い打点からさまざまなコースへスパイクを打ち込むシーンもネーションズリーグでは目立った。

 セッター争いを一歩抜け出したように見えたが、フィリピンラウンドの中盤からややトスが不安定になる場面も目立ち始めた。高さだけでなく、トスがネットに近づき、アタッカーがやや打ちにくそうになるケースも増え、松井との交代も余儀なくされた。
 
 関と同様にミドルも絡めた攻撃展開を得意とする松井は、何より“強気”が武器でもある。試合中も積極的にツーアタックで自ら得点をもぎ取るシーンも多く、アタッカーを盛り立てながら自らも点を取る。コート内で見せるリーダーシップも抜群で、関と松井、両者がそれぞれの持ち味を生かした司令塔争いはまだまだ繰り広げられている最中だ。

 日本女子バレーのセッターとして、絶対的な存在だった竹下佳江さんが引退後、続く司令塔として宮下遥や籾井あきなど、大型セッターも起用されてきたが、残念ながらいずれも絶対的な存在とはなり得なかった。

 精度の高いコンビバレーを展開するには、セッターの存在は不可欠で、できるだけ早く正セッターが定まったほうがチームにとってプラスの要素が多いようにも見えるが、関と松井のように、互いの長所を生かし、不調の時はカバーし合って持ち味を活かす。それもチームにとってはプラスの要素となるのは間違いない。

 ネーションズリーグで試合を重ねるなか、好調の攻撃陣を活かすべく2人のセッターがどんな進化を遂げるか。そしてセッター出身の眞鍋政義監督はレギュラーセッターとしてどちらを抜擢するのか。試合出場の機会はなかなかないが、関、松井に加えて宮下もメンバーに控えており、熾烈な戦いはまだまだ続きそうだ。

 残り4試合はもちろん、上位8チームによる決勝ラウンドも大いに注目したい。

構成●THE DIGEST編集部

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