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【凱旋門賞プレビュー・前編】注目の日本調教馬4頭の評価と状態は? 大将格のタイトルホルダーに増した強さと安定感

三好達彦

2022.10.01

今年の天皇賞・春と宝塚記念を制したタイトルホルダー。満を持して凱旋門賞へ挑む。写真:産経新聞社

 本レースを制することが日本競馬界の悲願となった凱旋門賞(仏G1、ロンシャン・芝2400)。その第101回目の開催が10月2日(日)に迫った。

 今回は日本から4頭の精鋭がすでにフランスへと乗り込み、出走に向けて順調な調整が進んでいる旨が伝えられている。

【動画】凱旋門賞、日本馬の挑戦(2017~2021年)
 すでにご承知とは思うが、いま一度、日本調教馬4頭をおさらいしてみよう。

 現地でいちばん高い評価を受けているのが、昨年の菊花賞馬であり、今春は天皇賞・春、宝塚記念(いずれもGⅠ)を連勝して、名実ともに日本の中長距離戦線の王者となったタイトルホルダー(牡4歳/美浦・栗田徹厩舎)だ。

 父は皐月賞、日本ダービーの二冠を制し、種牡馬入りして5シーズン目の昨年8月に早世したドゥラメンテ。タイトルホルダーのほかに、本年の牝馬クラシック二冠を制したスターズオンアースも出し、その早すぎる死がいまも惜しまれる存在である。

 彼のストロングポイントは、流れに左右されにくい先行力と、容易にバテることがない豊かなスタミナ。菊花賞以降で敗れたのは、ファン投票3位の支持に応えて休養の予定を翻して出走した昨年の有馬記念(5着)のみで、4歳を迎えてより強さと安定感を増した印象である。

 3200mの天皇賞・春、2200mの宝塚記念を連勝したことで、長距離戦のみを得意とするステイヤーでないことを証明したいま、日本調教馬の大将格と評価されるのは当然と言えるだろう。

 手綱は引き続き横山和生騎手がとる。

 ことしの日本ダービー馬であるドウデュース(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)は日本勢のなかでいち早くフランス入りし、プレップレースに選んだ9月11日のニエル賞(G2、ロンシャン・芝2400m)に出走。タフな「soft」発表の馬場を最後方から進み、いかにも前哨戦らしい"脚を計るような"レースぶりで、勝ち馬から0秒65差の4着となった。

 陣営は本番前の一戦として余裕残しの仕上げであったこと明かしており、本番に向けて調子を上げてくるであろうことは確か。父のハーツクライは、自身が"キングジョージ"で僅差の3着に食い込んだ経験をもっており、欧州のタフな馬場への血統的な対応力に関して不安は小さいと見る。「ユタカ騎手で凱旋門賞を勝つことが夢」と口にして憚らなかった㈱キーファーズ代表、松島正昭オーナーの思いは現実となるのか。

 ちなみに武豊騎手の凱旋門賞参戦は、今回で実に10度目となる。
 
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