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【名馬列伝】“日本競馬最強の2歳馬”の快進撃!グラスワンダーが見せつけた外国産馬のハイレベルな能力<前編>

三好達彦

2022.07.17

デビュー戦から圧巻の戦いぶりで日本競馬最強の2歳馬と称されたグラスワンダー。

デビュー戦から圧巻の戦いぶりで日本競馬最強の2歳馬と称されたグラスワンダー。

 1980年代の終盤から、バブル経済の盛り上がりに呼応するように、外国産馬の輸入ブームが起こった。日本の良血馬を買うよりも、輸入時の関税を払ってもなおハイレベルな外国産馬を買うほうに値頃感があったからだ。

 バブル景気は91年に弾けたが、海外で購買された馬のなかにはGⅠを制する馬も多数含まれていたため、海外のセリ市で購買、輸入するという流れは変わらず継続していった。

【動画】圧巻の強さ! グラスワンダーが6馬身差の圧勝を飾った97年朝日杯3歳ステークス

 その時期にGⅠレースを制した外国産馬を挙げてみる(一部、自家生産馬も含む)。

 リンドシェーバー、エルウェーウイン、シンコウラブリイ、ヒシアマゾン、ヤマニンパラダイス、ダンツシアトル、ヒシアケボノ、タイキフォーチュン、ファビラスラフイン、タイキシャトル、シンコウキング、シーキングザパール、タイキブリザート……。まさに絢爛たる顔ぶれである。

 1996年、米国のケンタッキー州キーンランドで行われたセリ市で1頭の牡馬が調教師、尾形允弘の目にとまった。父はシルヴァーホーク(Silver Hawk)というロベルト(Roberto)系の中堅種牡馬、母アメリフローラ(Ameriflora)は不出走だったものの、父に大種牡馬ダンツィヒ(Danzig)を持つことから繁殖入りしたもの。上場されたこの牡馬は血統、実績ともに未知数な部分が大きかったため、馬体の良さに比して高額にはならず、尾形の勧めを受けた半沢(有)社長の伊東純一は25万米㌦という手ごろな値段で落札できた。この栗毛馬が、大活躍して日本競馬に名を残すことになるグラスワンダーである。

 日本に到着してから北海道のノーザンファーム空港でトレーニングを受けたグラスワンダーは、1997年の4月に美浦トレーニング・センターの尾形厩舎へ入厩。デビューへ向けてさらに調教が積まれるが、その際に手綱を握った騎手の的場均は、乗り味の良さと、2歳とは思えない筋肉量の豊富さに驚嘆したと言われる。

 的場が感じ取った手応えは本物だった。9月にデビューしたグラスワンダーは周囲を驚かせるような快進撃をスタートする。
 
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