マラソン・駅伝

駒大と青学大の明暗を分けた「2区」の走り。箱根王者が勝てなかった理由とは?【全日本大学駅伝】

酒井政人

2022.11.09

青学大が駒大に4分ほど差をつけられた理由は?写真は7区を走ったエース近藤幸太郎。写真:産経新聞社

 全日本大学駅伝は3区でトップに立った駒澤大がそのまま独走。大会記録を4分以上も塗り替える凄まじいスピードを見せつけ、最多15度目の優勝を飾った。一方、箱根王者・青山学院大は駒大に約4分という大差をつけられて3位に沈んだ。両校の明暗を分けたものは何だったのだろうか。

 決戦前日の記者会見で両校の指揮官はともに自信を口にしていた。優勝確率を問われた駒大・大八木弘明監督は、「ミスさえしなければ80~90%はいけるかなという思いがあります」と回答。青学大・原晋監督はというと、「初めて全日本にバッチシ状態を合わせることができたかなと思います。プライドを持って(優勝確率)100%で頑張っていきたい」と話していた。

 両校の戦いは駒大が完勝したわけだが、勝因について大八木監督は「2区でしょうね」と答えている。

「(佐藤)圭汰がいいところまで持っていき、山野(力)がトップに立った。山川(拓馬)は度胸がいいので、使ってみたかった。成功したので本当にホッとしています」

 駒大は2区に入ったスーパールーキー佐藤圭汰が31分13秒の区間2位(区間新)。トップ大東大を19秒差、青学大を9秒差で追いかけるかたちでスタートすると、3km手前で先頭に立つ。最後は創価大・葛西潤(4年)に逆転を許したが、期待通りの快走を見せた。

 駒大は3区山野力(4年)がトップを奪うと、唯一不安視していた4区山川拓馬(1年)が区間賞。リードを1分以上に拡大して、勝利をほぼ確定させた。
 
 対する青学大は2区で"自滅"した。三大駅伝初出場の白石光星(2年)の動きが明らかに良くなかった。駒大にあっさりかわされると、13位まで転落。33分32秒の区間16位で、駒大・佐藤に2分19秒という大差をつけられたのだ。

 それでも青学大は盛り返した。3区佐藤一世(3年)が区間2位、4区横田俊吾(4年)が6人抜き。そして7区近藤幸太郎(4年)で2位に浮上した。"流れ"が重要な駅伝は先頭を走るチームが断然有利だ。そのなかで出遅れた青学大は3~7区では、トップを悠々と走る駒大との差を17秒で食い止めている。

 つまり青学大は2区を無難に乗り越えていれば、終盤まで駒大とトップ争いを繰り広げていた可能性が高い。

 となると2区の"走り"が両校の明暗を分けたと言っていいだろう。
 
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2区の白石はなぜ他校と競り合えなかった?