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「4回転ジャンプを絶対に降りる」島田麻央が魅せた女王のプライド。全日本ジュニア2連覇の称号を背にいざ、“憧れの舞台”へ

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2022.11.28

全日本ジュニア2連覇を飾った島田(中央)。憧れの舞台と話す全日本選手権の出場も手にした。2位は千葉(左)、3位は中井(右)が入った。写真:滝川敏之

 進化した14歳が、ジュニアの頂点に再び立った。
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 フィギュアスケートの全日本ジュニア選手権が27日、茨城県ひたちなか市の山新スイミングアリーナで行なわれ、女子フリーは14歳の島田麻央が優勝。去年はカテゴリーが一つ下のノービスから出場し、"飛び級"で優勝した超逸材がジュニア1年目の今季、ジュニア世代の頂点に立ち、2連覇の偉業を成し遂げた。男子は4回転トウループを着氷した18歳の吉岡希が初優勝を飾った。

 ショート終了時では1位の島田をはじめ、2位の千葉百音(17)、3位の柴山歩(14)、4位の中井亜美(14)らが、わずか1.4点差。超ハイレベルと言える今大会の女子は、フリーでも素晴らしい演技が相次いだ。

 ショート5位の櫛田育良(15)がノーミスの演技で自己ベストを更新(ISU非公認)すると、中井は自身の代名詞であるトリプルアクセルを着氷し、トップに躍り出る。千葉もジャンプ1つが回転不足と判定されたが、それ以外はほぼ完璧な演技を披露して表彰台を確定した。ライバルたちの好演技が続き連覇へ大きなプレッシャーがかかるなか、島田が最終滑走で登場した。

 前日に島田は、「トリプルアクセルと4回転ジャンプ、それぞれ1個ずつに挑戦したい」と語った。冒頭はトリプルアクセル。「すごく緊張していた」と述べた島田は惜しくも転倒してしまったが、すぐに気持ちを切り替えた。

「(アクセルで)失敗してしまったので、次は絶対に降りる」という強い気持ちでチャレンジしたのは、4回転ジャンプ。軌道にのったフォームから鋭く回り切ると、見事着氷。シニア顔負けの大技「4回転トウループ」を14歳が決めた。

 過去日本人女子の4回転ジャンプ成功は、安藤美姫と紀平梨花の二人しかいない。そんな大技に島田は挑戦し、見事成功した。GOE(出来栄え点)は『2.09』。観客も大きな拍手で快挙を称えた。

 その後は3回転ルッツ+3回転トウループ、3回転サルコウ+3回転トウループ+2回転トウループなどコンビネーションジャンプを降り、スピンは全て最高評価のレベル4を獲得。演技直後は少し悔しそうな表情を浮かべた。
 
 島田は去年ノービス推薦枠で出場した同大会を13歳で制した。当時も衝撃だったが、今年はさらにそれ以上のインパクトを与えた。得点は132.67点、合計199.19点で全日本ジュニア2連覇を手にした。

「昨年の点数を超えられたのは嬉しいけど、国内で合計200点を出したことがなかったので、そこは悔しいです。小さなミスもなくせるように、緊張感を練習の時から持って、試合で緊張しても練習通りできるようにしたいです」と演技を振り返った。

 2年連続で全日本ジュニア女王の肩書を手にした島田は、来月8日からジュニアGPファイナル(イタリア・トリノ)へ出場。さらに年末には、「憧れの舞台」と話す全日本選手権(大阪)の出場が決まった。加速的な進化を見せる14歳は、今後どんなパフォーマンスを披露するのか。とても楽しみだ。

 今大会の女子は表彰台に立った千葉や中井、惜しくも表彰台を逃した柴山や櫛田など、現在のジュニア勢は非常にレベルが高くポテンシャルのある逸材が揃っている。3位の中井は演技後、「島田選手は、人としてもスケーターとしても尊敬しているので、この舞台で戦えたことが嬉しいです」とコメントした。

 切磋琢磨できるライバルの存在は、選手に大きな刺激を与え成長を大いに促進させる。今大会は、それを改めて感じる大会となった。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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