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モータースポーツ

2022年のF1を席巻したレッドブル、他の追随を許さなかった強さの理由を3つの視点から考察する【識者の目】

甘利隆

2022.11.30

2013年以来のコンストラクターズタイトルを掴んだレッドブル。その強さが際立つシーズンとなった。(C) Getty Images

2013年以来のコンストラクターズタイトルを掴んだレッドブル。その強さが際立つシーズンとなった。(C) Getty Images

 11月最後の週末、ホンダ・レーシング・サンクスデーが開催されたモビリティリゾートもてぎには、2年連続でのF1王者に輝いたマックス・フェルスタッペンとランキング3位という成績を残したセルジオ・ペレスの姿があった。


 2022年シーズンのレッドブルは、2013年以来となるコンストラクターズタイトルもつかみ取ったが、前年限りでF1参戦活動を終了し、HRC(ホンダ・レーシング)へと体制を変えながらもレッドブル・パワートレインズを献身的にサポートし続けたホンダの技術力が、その結果に大きく貢献したのはいうまでもないだろう。

 常勝を誇ったメルセデスがマシン開発の方向を見誤り、序盤、好調だったフェラーリが失速したとはいえ、年間を通して一貫性を発揮したレッドブルの強さの秘密とは何なのだろうか?

――◆――◆――

【ハンドリングにも好影響を及ぼした軽量化】

 まず挙げられるのは、長らく禁止されてきたグラウンドエフェクトが合法化、ホイールサイズがこれまでの13インチから18インチに大径化され、また、最低重量が752kgから795kg(その後、チーム間の合意で798kgに変更)へと引き上げられるなど、大きく変更された新レギュレーションに適切な対応をしていったことだ。

 レッドブルが用意したRB18は、開幕を迎える段階で最低重量を15kg程度上回っていると噂され、モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコも「我々が抱える唯一の問題」とそれを認めていた。だが、シーズン半ばまでに5~6kgの減量に成功。さらに最低重量近くまで軽量化を進め、1周あたり、0.2~0.3秒のタイム短縮につなげた。

 そして軽量化は、副次的な効果も生んだ。

 シーズン序盤、重量バランスの問題もあり、ペレスが好むアンダーステア傾向だったマシンが、バラスト(重り)の位置を自由に移動させられるようになったことで、フェルスタッペンが好むオーバーステア傾向のマシンへと特性を変えたのだ。

 テクニカルディレクターのピエール・ヴァッシュは「シーズン初めには、ウェイトを動かせなかった。でもいくつかのオプションが存在するようになり、セットアップに自由が生まれた。フロントエンドの動きを調整し、シャープにすることで、自分の求めていたものを手に入れたマックスが有利になった」と語っている。
 
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