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格闘技・プロレス

「イノウエは君を意識してない」井上尚弥との差が広まるばかりのカシメロ。再起にもがく元王者に母国識者が“助言”

THE DIGEST編集部

2022.12.13

王道を歩み続けてきた井上(左)。そんなモンスターと差をつけられたカシメロ(右)には厳しい言葉が国内からも贈られた。(C)Getty Images

王道を歩み続けてきた井上(左)。そんなモンスターと差をつけられたカシメロ(右)には厳しい言葉が国内からも贈られた。(C)Getty Images

 32歳の元王者は、ひっそりと再起に向けた歩みを始めた。去る12月3日、日本列島がカタール・ワールドカップでの森保ジャパンの躍進に熱狂していた頃、元ボクシングWBOバンタム級王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)は、久々の実戦に臨んでいた。

 スーパーバンタム級ノンタイトル8回戦として韓国で実施された試合の相手は、WBO同級8位の赤穂亮(横浜光)。カシメロにとっては同級転向後の初戦ながら2021年8月のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)戦以来となる実戦だった。

 2回にダウンを奪われたカシメロだったが、そこから猛反撃。一気に流れを引き寄せたが、勢い余って繰り出したパンチが後頭部に当たってしまい、そのまま試合は終了。ノーコンテストという後味の悪い決着となった。

 いまだ老け込む歳ではない。だが、カシメロは自らの度重なる“愚行”によって立場が危うくなっている。昨年12月に実施予定だったポール・バトラー(英国)戦とのWBOバンタム級王座戦は、試合前日にウイルス性胃腸炎を患ったとしてまさかの“ドタキャン”。

 その後、仕切り直しとして敵地で組まれた今年4月の一戦では、戦前に減量目的によるサウナ使用が発覚。これが英国内の規約違反に該当したために中止になり、フィリピン人ファイターは、WBOから王座を剥奪されたのである。

 完全に“問題児”としてのレッテルを貼られたなかで、再起に向けた一戦もノーコンテスト。ますます逆風にさらされている。そんなもがいている元チャンプに「イノウエを忘れろ」と助言を呈したのは、フィリピン最大級のネットワークを誇るニュースメディア『GMA Network』でボクシングアナリストを務めるエド・トレンティーノ氏だ。
 
 これまでもカシメロに「残念だというほかない」と辛辣なメッセージを送ってきた同氏。今回の赤穂戦についても「カシメロの次戦の相手としてイノウエ戦が実現する可能性は限りなく低いし、ノーコンテストという結果だ。振り出しに戻ったと言わざるを得ない」と断言し、やはり手厳しい言葉をあびせた。

 さらに「イノウエは君のことなんか意識してないと確信できる」と言い放つ、トレンティーノ氏は、こうも続けている。

「カシメロはまだキャリアに付きまとっている疑問に答えを出してない。彼はとにかく自分のことに集中し、リングに戻らなければならないんだ。イノウエのことを忘れて、昔の良かった頃を取り戻すことに集中するべきだ」

 井上に対しては「アイツは亀野郎」など再三にわたって挑発行為を繰り返してきたカシメロ。赤穂戦後も「次はイノウエとやりたい。いつもあいつには逃げられている」と語ったが、トレンティーノ氏の言う通り、まずは自らのキャリアを立て直さなければ、大きな差をつけられた“ライバル”との黄金カードの実現などありえないだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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