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格闘技・プロレス

非難が相次いだ“亀戦法”も「あれ以外になかった」。井上尚弥に屈したバトラーに米記者は同情「強打を受けないように逃げ回った」

THE DIGEST編集部

2022.12.18

両手を後ろに回してパンチを引き出そうとした井上(左)。しかし、バトラーのガードは崩れなかった。写真:AP/アフロ

両手を後ろに回してパンチを引き出そうとした井上(左)。しかし、バトラーのガードは崩れなかった。写真:AP/アフロ

 日本の“怪物”を前にした英国人王者の戦いぶりは小さくない波紋を呼んだ。去る12月13日に東京・有明アリーナで、ボクシングWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)と対峙したWBO同級王者ポール・バトラー(英国)のそれだ。

 井上が11回1分9秒KO勝ちを収め、アジア人として史上初の4団体統一を成し遂げた一戦は一方的な展開となった。バトラーが頑なにガードを崩さなかったためだった。

 序盤から守勢に回って防戦一方となったバトラー。8回には井上が両手を後ろに回してのノーガードモーションを取ったが、カウンターを警戒した34歳の英国人戦士は打ち出さず……。最後は相手の渾身ボディを被弾し、そこから猛ラッシュで畳みかけられたのである。

 試合後に「出てきた時に狙ったが、隙がなかった」と語ったバトラーのコメントから推察するに、立ちはだかる怪物のプレッシャーを前に「打ち出せなかった」と言うのが正しいのかもしれない。しかし、試合後に井上が「何しに日本に来たんだ。本当に勝つ気があるのか」と語気を強めたように、積極性に欠ける試合内容だったのは間違いない。
 
 無論、バトラーの“亀戦法”には「気分が悪くなる。勝ちたかったわけではない」(IBF世界フライ級王者のサニー・エドワーズ)といった批判的な意見が殺到した。一方で、やはり世界屈指のハードパンチャーである井上との対峙である以上、致し方がなかったのではないかという声もある。

 米ポッドキャスト番組『Big Fight Weekend』で、米スポーツ専門局『ESPN』の記者でもあったボクシングジャーナリストのダン・ラファエル氏は、「イノウエがKOするまでに、11ラウンドという時間がかかった理由の一つは、バトラーの闘い方にある。彼は序盤でぶっ倒されるのを避けるためには、あれ以外の戦い方がなかった」と分析。34歳のベテランが見せたタフさを称えた。

「彼はとにかく強打を受けないようにしようと決断したんだ。だからパンチを放つことも打ち合うことも拒否し、ガードを高い位置で固めて逃げ回ったんだ。守備的にできることはすべてやってきた相手を追い回さなければいけないとなれば、イノウエでさえも攻めるのは難しい。色々な意見が飛び交っているのは分かっている。だけど、私はバトラーのタフさは称賛したいものだ。試合中盤にも頭部やボディにも強打を受けていたが、倒されるまで11ラウンドも粘ったんだ」

 王者の意地でリングに立ち続け、井上という強大なライバルに立ち向かったバトラー。攻めの姿勢は見せなかったが、その闘志は称えられるべきである。

構成●THE DIGEST編集部

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