格闘技・プロレス

Bellatorの本気度を示した大将AJマッキー。元王者が抱えていた“日本で負けられなかった”理由「父のためにも勝ちたかった」

橋本宗洋

2023.01.02

セコンドについていた父アントニオ(左)と笑顔の2ショットに応じたマッキー(右)。彼には、この日本で負けられない並々ならぬ想いがあった。(C)THE DIGEST

 2022年、日本格闘技界で"最後の勝者"となったのは、アメリカのAJ・マッキーだった。

 恒例のさいたまスーパーアリーナでのRIZIN大晦日大会。マッキーが華々しく登場したのは、メインイベントだ。だが、彼はRIZIN所属の選手ではない。この日、行なわれたのはアメリカのメジャー総合格闘技団体『Bellator』との5vs5の対抗戦だった。

 マッキーはBellatorのフェザー級ワールドグランプリ優勝者、そして前フェザー級チャンピオンとして、対抗戦の大トリである大将戦に挑み、RIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザと対戦。フルマークの判定勝ちを収めたのである。

 これまで鮮やかな一本勝ちの数々でファンを魅了してきた寝技師・サトシに対して、マッキーはまったく臆するところがなかった。

 サトシが三角絞めやリアネイキッドチョークを仕掛ける場面もあったのだが、しっかりディフェンスをして、相手の展開に持ち込ませずに打撃を当てていく。スリリングな内容、かつマッキーの強さも光った試合だった。

 対抗戦はBellatorが5連勝。つまりRIZINの5戦全敗という結果になった。これを受けて、RIZINとその選手たちがどう"世界"に対抗し、差を詰めていくか。それが団体としての大きなテーマとなる。
 
 だがもうひとつ伝えておきたいのは、Bellatorの勢いについてだ。彼らの勝利は「さすが世界のメジャーリーガー」で片付けていいものでもなかった。団体を取り仕切るスコット・コーカー社長は選手たちに「RIZINファイターは強い。絶対に油断するな」と選手たちに伝えたという。

 日本到着は普通であれば試合の3日ほど前。しかし、今回は時差ボケ対策などコンディション作りを重視して早めに来日。この対抗戦に相当な気合いをもって臨んでいたのだ。

 入場時に、日本の武将をオマージュした鎧兜を装着してド派手に登場したマッキー。この日のために作られたものだ。

「自分は戦士。三角でもギロチンでもタップしないぞという気持ちだった。それを表したのが甲冑だよ」

 似合っていたと言われると笑顔を浮かべた。

「よかった。(日本に対して)失礼にならないかなと思ってたんだ」
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Bellatorでは認められないグラウンドでの蹴り技も巧みに