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「観客がいなくなるだけ」名伯楽タラソワが2季連続ロシアでのGPシリーズ開催なしに憤怒「露スケーターの参加が重要」

THE DIGEST編集部

2023.01.21

かつて日本の浅田真央(左)を指導し、五輪メダリストに育てたタラソワ(右)。ロシアの2季連続GPシリーズ開催除外に異議を唱えた。(C)Getty Images

 国際スケート連盟(ISU)の決定に、ロシアの重鎮が憤怒している。

 現地時間1月18日、ISUはフィギュアスケートの来シーズンのグランプリ(GP)シリーズをロシアでは実施しないことを発表した。ウクライナ侵攻に伴う処置で、今シーズンに引き続きロシア大会は2季連続で開催を除外される。

 この採決に対し、ロシア国内のフィギュアスケート関係者らは到底納得できない決定だとの意見が噴出した。露メディア『Championat』によると、トリノ五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコ氏は「ロシア選手抜きでの国際大会は、競技ではなく練習試合のようだ」とISUの決断を批判する。

 また、同氏は「ロシア選手が最も強力な相手であることは、周知の通りだ」としたうえで、「大会で勝つことより、強い相手と一緒に滑ったほうがいいに決まっている」と怒りを口にし、「政治に巻き込んで、ロシアのアスリートを拘束するのは愚かなことだ」と訴えた。
 
 他にも、イリア・クーリック(1998年長野)やアレクセイ・ヤグディン(2002年ソルトレークシティー)などをオリンピック金メダリストに導き、日本人では浅田真央(2010年バンクーバー五輪銀メダル)も指導したタチアナ・タラソワ氏もISUの決定に異議を唱えた。

 現地19日、同氏は露スポーツメディア『Sport24』の取材に答え「彼らはこれで多くを失うだけだ」と述べ、愚かな決定だと吐き捨てる。

 タチアナ氏は、ロシア選手がいなければ会場は埋まらないだろうと指摘し「ロシアでグランプリを開催しないほうが、彼らにとっては不利。それを嫌がるから観客がいなくなるのです」と今季のGPシリーズで集客に苦戦したISUを皮肉るコメントを述べると、ロシアスケーターの国際試合"復帰"を改めて訴えた。

「私たちにとって重要なのは、スケーターが大会に参加することです。グランプリがどこで開催されるかは重要ではなく、参加することが重要なのです」

 ISUはGPシリーズの一つとして行なう予定だった第5戦ロシア大会(11月17~19日)の開催地を改めて募集するという。同時にフランス・オルレアンで開催予定だったGPファイナルも運営が不可能となり、代替開催地を探している。

 ロシアスケーターたちが再び銀盤に戻ってくる日は、はたして訪れるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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