格闘技・プロレス

世界を席巻したグレート・ムタが最後の毒霧噴射でリングに別れ。白使の血を使った“27年前の再現”は「完」

どら増田

2023.01.22

引退試合を迎えたムタは白使に閃光妖術を決める。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 日本だけでなく、世界のプロレス界を席巻した魔界のエンターテイナーがラストファイトを終えた。

 プロレスリング・ノアは『GREAT MUTA FINAL " BYE-BYE"』1.22神奈川・横浜アリーナ大会を開催した。メインイベントでは、グレート・ムタ引退試合『End of Nightmare』と銘打ち、ムタ&スティング&ダービー・アリンVS丸藤正道&AKIRA&白使が6人タッグマッチで激突した。

 国境を超えたドリームタッグにプロレスファンは沸いた。ムタとスティングはアメリカWCW時代からのライバルで、日米を股にかけて対戦したほか、新日本プロレスではスティングのペイントを施した武藤敬司ともタッグを結成している。一方のアリンはアメリカAEW期待の選手で、現在はスティングのパートナーを務めており、襲撃された二人をムタが救出したことから、今大会のトリオが実現した。

 迎え打つ対戦相手もムタと縁のある顔が揃った。丸藤は化身の魔流不死としてムタとタッグを結成した仲であり、AKIRAは武藤の同期。そして、もう一人は"因縁"ある白使である。

 白使は当時、新崎"白使"人生として新日本の1996年4.29東京ドーム大会で、WCWとWWF(現WWE)それぞれスターだったムタと「日本人ドリーム対決」として対戦し、ムタが白使を血祭りに上げている。

 ムタはこの試合、白使の滴る血で彼が入場時に用意した卒塔婆に「死」と書いたのは、名場面として多くのプロレスファンの記憶に残されており、この試合はムタのベストバウトのひとつと言われている。

 また、白使はみちのくプロレス時代から拳王の師匠としても知られている。ムタは元旦の東京・日本武道館大会で敗れはしたものの、WWEのスーパースター中邑真輔と歴史的な一戦をしたばかりだ。
 
 前日は新日本プロレス主催でノアとの対抗戦が行なわれた横浜アリーナだが、ステージも花道も作り直されており、リングのキャンパスもこの日のためだけに使われる" BYE-BYE"仕様となっていた。

 試合前の煽りVTRでは、新日本時代も含めた過去の名場面の映像やスティングのインタビューが流された。VTRが終わると、体に黒いペイントを施した丸藤、歌舞伎仕様のAKIRA、白装束姿の白使の順で入場。セコンドの手には、なんと塔婆が持たれていた。白使がリングインし白装束を脱ぐと、27年前と同じように体に般若心経が刻まれていた。

 すると「ヤンキーステーション」が鳴り響き、ムタの「パパ」ことザ・グレート・カブキさんが入場し、ヌンチャクパフォーマンスから毒霧を噴射。会場のボルテージはさらに上がる。

 続いて、AEW TNT王者アリンがスケボーに乗って、ついに初来日。スケボーには、" BYE-BYE"の文字が記されていた。そして、スティングがWCW時代のテーマ曲から現在のテーマ曲にアレンジされた曲で26年ぶりに来日。オペラ座の怪人バージョンは日本初公開だ。リングに上がると、スティングは雄叫びを上げる。

 最後は「MUTA」が流れるなか、ムタが黒いコスチュームに赤頭巾で入場。ムタの入場ではお馴染みだった回転花火の演出がラストマッチを盛り上げる。
 
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車椅子を押させて魔界へと去る