スクーデリア・アルファタウリを率いるフランツ・トスト代表は先日、ハースのシートを失ったミック・シューマッハーについて「彼を起用することを検討した。アルファタウリの車にミックを乗せたかった」と語ったが、後にドイツの放送局『Sport1』で、再びこのことに言及している。
【動画】角田裕毅がプライベートテスト走行を実施! 1月20日に67歳となるも、「誕生日は普通通りに過ごし、夜遅くに自宅に帰った」という“仕事人間”のオーストリア人名伯楽は、イタリア・ファエンツァに居を移してから17年が経つというが、それ以前にはドイツでF3チームを率い、ラルフ・シューマッハーのマネジメントを担当するなど、同国のモータースポーツに深く関わってきた。
1990年代から2000年代にかけて、ドイツのF1ブームを目の当たりにしてきた彼は、現在の状況に危機感を覚えており、「この国では、人々のF1への関心が非常に低くなっている。このままではダメだ。それは、サッカーでも同じことを感じる」と、正直な思いを明かしている。
「現在のドイツ代表チームへの関心の欠如は、ワールドカップでの無残な結果によるものだろう。もし、カタールで決勝に進んでいれば、ドイツ国民の半分以上が代表チームをフォローし続けただろう。明らかなのは、人々はヒーローを求めているということだ。それは鉄(チーム)ではなく、生身の人間でなければならない」
ラルフの兄であるミハエルが「皇帝」としてF1を席巻して2004年までに史上最多7度の年間王者を達成し、2010年からはセバスティアン・ヴェッテルが4連覇、そして2016年にニコ・ロズベルグが頂点に立ったが、これを最後にドイツ人ドライバーがF1界の主役に立つことはなく、メルセデスが2014年から8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得しても、ドイツ国内でのF1人気は低下の一途を辿っているとされてきた。
このような状況に、トスト代表は「ヒーローだけがブームを巻き起こすことができる。ミハエルがそうであったように。他に例を挙げるなら、テニスだ。以前、この競技に関心を示すのは、裕福な市民だけだったが、ボリス・ベッカーとシュテフィ・グラフの成功により、状況は突然変わり、全ての子どもたちがテニスをやりたがるようになったものだ」と指摘している。
そして彼は、改めてミハエルの息子であるミックについて言及、「彼は新しいヒーローになれたかもしれない。しかし、残念ながら今のところ、最高のクラスから外れてしまっている。シューマッハーという名前のためではなく、私はミックの才能と能力を信じており、アルファタウリで彼に会いたいと思ったが、残念ながらうまくいかなかった」と無念さを表わし、彼が早いうちにF1ドライバーとして復帰することを願った。
「ミックができるだけ早くスターティンググリッドに戻る方法を見つけることが重要だ。不可能ではないが、簡単でもない。確かなことは、彼のカムバックがドイツのF1を含めたモータースポーツにとって、非常に重要であるということだ。ミックのキャリアが、ドイツでの同競技への関心度を決定する。ニコ・ヒュルケンベルグ(ミックに代わって今季よりハースでシートを得たベテランのドイツ人ドライバー)では、これは成し遂げられない」
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