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「やっとできた!」“かなだい”がFD涙の自己ベスト! 日本勢初のトップ10まで僅か1.23点も万感の思い「喜びは2倍、3倍」【フィギュア世界選手権】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2023.03.25

FDで自己ベストを更新した村元(左)と高橋(右)。演技後は二人とも涙が流れた。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

「Finally!(やっとできた!)」

 そう叫んだとき、"かなだい"の瞳から涙が流れた。

 フィギュアスケートの世界選手権は4日目にアイスダンスフリーダンスが行なわれ、"かなだい"こと村元哉中&高橋大輔組は自己ベストを1.26点も更新する115.55点をマーク。合計188.87点で日本勢初のトップ10まで僅か1.23点及ばなかったが、迫真の演技で、2度目の世界選手権を11位で終えた。

 フリーダンスのプログラムは名作『オペラ座の怪人』。高橋がシングル時代の2007年に銀メダルを獲得した思い入れが強いプログラムで、主人公であるヒロイン・クリスティーヌを村元が、怪人ファントムを高橋が演じた。

 前日のリズムダンスでは「1回転多く回ってしまった」ツイズルは息をぴったり合わし、演技後半のリフトは高く、ステップも光った。曲がクライマックスに近づくと、客席から大きな拍手が起こった。フィナーレを迎えると、観客はスタンディングオベーションで二人を称え、演技後は2人で抱き合うと高橋の目からは涙がこぼれた。

 高橋は「素直に嬉しい!ミスなく演技をすることができました」とノーミスの演技に興奮。「Finally!(やっとできた!)やったぞ!」と、村元と二人で声をかけあったという。

 村元は「最初は緊張感がありましたけど、コレオステップからオペラ座の世界観に入れた。最後の途中ぐらいから、お互いの顔を見て「いけるぞ!」みたいな。本当にミスなく終えられてすごく嬉しいです」と声を弾ませて振り返った。
 
 カップル結成3シーズン目で、最高のプログラムを披露した「かなだい」。アイスダンスに転向して高橋は、「滑り終えた後、喜びが倍になるのはカップルならでは」と語り、改めてシングルとカップル競技の違いを次のように強調した。

「自分たちで満足のいく演技ができた時に、本当に1人で滑るよりも喜びが2倍、3倍になる。こうやって一緒に作り上げていくって、こういうことなんだなとすごく感じた」

 今大会は、アイスダンスカップルとしての"絆"をより強固なものにした。来季については「これから考える」と明言を避けた二人だが、今回のプログラムを見て、来シーズンも"かなだい"の演技に期待を抱きたくなったのは間違いない。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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