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【桜花賞】驚異的な追い込みも、まだ余裕を感じさせたリバティアイランドの圧勝劇! その図抜けた能力で牡馬にも対抗できるか

三好達彦

2023.04.11

驚異の末脚で桜花賞を制したリバティアイランド。写真:産経新聞社

 牝馬クラシックの第一弾、桜花賞(GⅠ、阪神・芝1600m)が4月9日(日)に行われ、単勝オッズ1.6倍の1番人気に推されたリバティアイランド(牝3歳/栗東・中内田充正厩舎)が後方一気の追い込みで優勝。川田将雅騎手には史上6人目となる本レース連覇の、中内田調教師にはクラシック初制覇の勲章をもたらした。

 2、3着にはインコース有利の馬場を活かして先行した2頭、6番人気のコナコースト(牝3歳/栗東・清水久詞厩舎)と、5番人気のベリファーニア(牝3歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)が粘り込んだ。

【動画】リバティアイランドが大外から一気にごぼう抜き!
 一方、3番人気のハーパー(牝3歳/栗東・友道康夫厩舎)は競り負けて4着に、2番人気のライトクオンタム(牝3歳/栗東・武幸四郎厩舎)は伸びあぐねて8着に、それぞれ敗れた。

 木曜、金曜とぐずついた天候が続き、馬場状態の行方に気を揉まされたが、当日は快晴に恵まれ、「稍重」でスタートした芝コースは、第7レースから「良」に持ち直した。こうなると馬場は内ラチ沿いから急速に乾いていくため、インの先行馬に有利になるのが通例。そこを狙うのがどの馬なのか、また、外を回った馬は差し届くのか。この2点が注目されるところになった。

 予想どおりモズメイメイ(牝3歳/栗東・音無秀孝厩舎)が気合を付けながら先頭を奪うと、コナコーストも積極的に2番手に付ける。ベリファーニア、ハーパーも先団を進むが、中団のライトクオンタムは折り合いを欠いて何度も頭を上げる仕草が目立つ。

 そして1番人気のリバティアイランドだが、五分のスタートを切ったものの、「前へ行きたがらなかった」と川田騎手が言うように、自然と後方へ下がるかたちになり、15~16番手のインコースでの待機策に出た。

 1000mの通過ラップは57秒6と、やや速めのミドルペース。無茶なハイペースで飛ばしているわけではなく、インで粘り込みをはかる先行馬に有利な流れとなった。

 第3コーナーを過ぎて脚色がいっぱいになった馬たちを横目に見ながら、後方で脚を溜めていた差し・追い込み勢が動き出す。インで息を潜めていたリバティアイランドはスムーズに馬群の外へと持ち出されたものの、まだポジションは後ろから2~3番手に過ぎなかった。

 直線へ向くと、バテたモズメイメイを交わしてコナコーストが先頭に立ち、馬群のなかからベリファーニアが抜け出してそれを追う。普通ならこの2頭で決まりそうな展開だったが、そうした常識や思い込みをぶち破らんと大外から追い込んできたのがリバティアイランド。坂下から一気にスピードに乗ると、ぐいぐいと10数頭を交わし、粘り込みをはかるコナコーストを3/4馬身交わしてゴール。上がり3ハロンの時計を見ると、レース自体の34秒5に対して、リバティアイランドのそれは32秒9という驚異的な数字を叩き出していた。ゴールの際にはまだ手応えに余裕があり、数字以上の強さを感じさせる圧勝劇だった。
 
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リバティアイランドには次走で「日本ダービー」という選択肢も入れてほしい